本文へスキップ
株式会社SAI
生成AI

生成AIの属人化解消|使える人の偏りと品質の差を分けて直す

執筆:清水 諒(株式会社SAI 代表取締役)

生成AIの属人化解消|使える人の偏りと品質の差を分けて直す

Key Takeaways

  • 生成AIの属人化解消は使える人の偏りと品質の差を分けて直すもので、業務の出来上がりが人に依存している状態とAIを使える人が一部に偏っている状態は測り方も直し方も違う。
  • 品質の差は同じ依頼に対する成果物を人ごとに並べたときに初めて見え、差の出る箇所が型にする候補になる。
  • 使う人の偏りは研修の当日ではなく翌週以降に対象業務の担当者ごとに使っているかで見て、使われない理由はその場で本人に聞いて潰す。
  • 当社のBCP支援の事例ページの課題の欄は2つの属人化に分けて読め、スキル差による品質のばらつきは業務の属人化の側に、使いこなせていない状態はAI利用の偏りの側に当たる。
  • 詳しい人の仕事は型を作って直す役に移り、AIを使う業務が一部の人の担当にしかないなら使う人の偏りは直さなくてよい。

同じ会議の要約を2人分並べた机の上に出てくるのは出来上がりの差だけで、誰がAIを使っていないかは出てこないので、使える人の偏りと品質の差を分けて直します。型を配っても差が残るとき、残っているのが出来上がりの差なのか使う人の偏りなのかを見分ける物差しがないと、型を直すのか使い方を広げるのかが決まりません。手元に残るのは、同じ依頼の成果物を人ごとに並べる見分け方と、型を使う人が自分で直せるようになるまでの順番です。

当社の例は事例ページに公開した定性の記述で、効果を測った数値ではありません。外部の記述はIPAと総務省の資料を2026年10月30日に開き直した範囲です。IPAが掲載した卒業プロジェクトのガイドライン(「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」)は中核人材育成プログラムの卒業プロジェクトのメンバーの見解に基づく文書で、IPAと産業サイバーセキュリティセンターの意見を代表するものではないと掲載ページに書かれています(IPA「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」掲載ページ/2026年10月30日閲覧)。同ガイドラインの本文は有効期限を発行日から2年間と定めているので、本記事では期限を過ぎた文書として参照します(IPA 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。

生成AIの属人化とは、業務が特定の人に依存している状態とAIを使える人が一部に偏っている状態を指し、測り方も直し方も違う

見出しは「生成AIの属人化は、分けて測り、分けて直す」。生成AIの属人化の2つの意味を左右に並べた対照表。左の列は業務の属人化。見えるものは同じ業務の出来上がりの差で、測り方は同じ依頼の成果物を人ごとに並べること。直し方は差の出る箇所を型にし、使う人が自分で直せる状態にすること。右の列はAI利用の偏り。見えるものは使う人の数と頻度の差で、測り方は研修の翌週以降に対象業務の担当者ごとに使っているかを見ること。直し方は使う業務と場面を先に決め、使われない理由をその場で潰すこと。下の帯には「片方だけ直すと、もう片方が残る」と書かれている

生成AIの属人化とは、業務の出来上がりが特定の人の知識や腕に依存している状態と、生成AIを使いこなせる人が社内の一部に偏っている状態の2つを指す言葉です。前者は生成AIを入れる前からあった属人化で、後者は生成AIを入れたことで新しく生まれる属人化です。2つは同じ職場で同時に起きることもありますが、見えるものも測り方も直し方も違います。

図は左の列に業務の属人化を、右の列にAI利用の偏りを置いて見えるもの・測り方・直し方を横に並べたものです。業務の属人化は同じ業務の出来上がりの差として見え、同じ依頼の成果物を人ごとに並べて測ります。AI利用の偏りは使う人の数と頻度の差として見え、研修の翌週以降に対象業務の担当者ごとに使っているかで測ります。下の帯に書いたとおり、片方だけ直すともう片方が残ります。

詳しい人の指示文を型にして配っても、使う人が増えなければ出来上がりがそろうのは型を使う人の間だけです。逆に全員にAIを使わせても、指示を人ごとに書いていれば出来上がりの差はそのまま残ります。

生成AIの利用が個人の単位にとどまりやすいことは、IPAの調査にも出ています。DX動向2026では生成AIを導入・試験利用・検討している企業の組織での利用状況で、「個人で業務利用している(文書作成やアイデア出しなど)」が63.3%と最も高い値でした(図表3-6・2025年度調査の回答1,159社)。「部署の業務プロセスに組み込まれている」は11.9%、「全社的なサービスに組み込まれている」は18.6%にとどまり、2024年度と大きな変化はありません。調査は日本標準産業分類の19業種の企業の経営層またはICT関連事業部門へのアンケートで、2026年4月中旬から6月中旬に1,799社の有効回答を得たものです(IPA「DX動向2026」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。

この調査は属人化そのものを尋ねたものではありませんが、当社は個人の単位で使われている状態を2つの属人化が同時に起きやすい状態と読んでいます。使う人は自分で使うと決めた人に限られ、指示もそれぞれが自分で書いているからです。

総務省の令和8年版情報通信白書の企業向けアンケートでも、生成AIによる業務変革等の組織的な取組を尋ねた設問で日本は「組織的な取り組みはない」が27.0%でした(活用方針で「利用を禁止している」と答えた企業を除く)。企業規模別では中小企業が45.6%で大企業が18.1%となり、白書はこの回答割合が中小企業で特に高い傾向が見られたとしています(総務省「令和8年版 情報通信白書 組織的な取組状況」/2026年10月30日閲覧)。アンケートは日本・米国・ドイツ・中国でデジタル化の取組を始めている従業員10名以上の企業の管理職以上を対象にしたインターネット調査で、日本は2026年1月から2月に515社(大企業353社・中小企業162社)が回答しています。中小企業の線は業種によって従業員300人未満か100人未満に引かれています(総務省「令和8年版 情報通信白書 付注」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。

どちらに当たるかを見分ける問いは2つです。同じ依頼を2人に出したときに出来上がりが違うか、そしてAIを使うはずの業務の担当者に使っていない人がいるかです。前者が当てはまれば業務の属人化が残っていて、後者が当てはまればAI利用の偏りが残っています。両方に当てはまる職場では、両方を別々に直します。

品質の差は、同じ業務の出来上がりを人ごとに並べたときに初めて見える

品質の差は、同じ業務の出来上がりを人ごとに並べたときに初めて見えます。1人分の成果物だけを見ても良し悪しは決めにくく、受け取る側が感じている「人によって違う」は並べないと箇所まで特定できません。

並べる業務は、同じ形の依頼が繰り返し来るものから1つ選びます。議事録の要約・見積もりに添える送付文・提案書の骨子のように、依頼の中身が同じで出来上がりを比べられる業務が向いています。候補がまだ見えていなければ、業務の棚卸しで作業を仕分けるところが先です。担当している人ごとに最近の成果物を1つずつ集め、AIを使った人の分も使わなかった人の分も同じ列に並べます。

並べたら、差が出ている箇所を書き出します。見るのは文体の好みではなく、項目の抜け・書く順番・確かめた形跡・受け取る側が直した箇所の4つです。受け取る側が毎回直している箇所があれば、そこが出来上がりの差の中心です。書き出した箇所が、型にする候補になります。

型を配ったのに差が残っている職場でも、同じ並べ方で原因を分けられます。型を使った人どうしの成果物に差があれば、差の出る箇所を型が押さえていないので型の中身を直します。型を使った人と使わなかった人の間にだけ差があるなら、残っているのは使う人の偏りのほうで、次の節の測り方に移ります。

AIを使う人どうしで出来上がりが違う理由の1つは、指示の書き方が人によって違うことです。IPAが掲載した卒業プロジェクトのガイドラインは、生成AIから効果的な回答を得るには高度なプロンプトエンジニアリングの能力が必要になるものの、全てのユーザがその能力を持ち適切に活用できているわけではないと書いています。ユーザが個々に調べてプロンプトを作るのは難易度が高いと想像されるとして、社内システムの機能としてプロンプトテンプレートを選べる仕組みを入れることを対策に挙げています。同ガイドラインはこの仕組みでユーザが効果的なプロンプトを元にした回答を簡単に得られるようになり、生成AIの効果を実感する一助になるとしています(図6-1・図6-2に実装イメージ。IPA 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。

型の欄の作り方は業務マニュアルの生成AI作成に書いたので、ここでは繰り返しません。本記事で扱うのは、型にする箇所を成果物の並びから選ぶところまでです。

使う人の偏りは、利用の合計ではなく対象業務の担当者ごとの分布で見る

使う人の偏りは、利用の合計ではなく対象業務の担当者ごとの分布で見ます。見る時期は研修の当日ではなく翌週以降です。当日は誰もが手を動かすので、偏りは研修が終わって普段の業務に戻ったあとにしか出てきません。当社のAI導入支援のページは、心当たりを尋ねる状態の1つに「研修はしたが、翌週にはみんな元のやり方に戻った」を挙げています。同じ欄には「ChatGPTを契約したが、一部の社員しか使っていない」も並んでいます。

測るときは、全社員ではなくAIを使うと決めた業務の担当者だけを名簿にします。名簿の1人ずつについて、その業務で直近の1週間にAIを使ったかを「使った」と「使っていない」の2つで記録します。合計を見ないのは、1人がたくさん使うだけでも合計は伸びてしまうからです。

研修で扱った業務の確認の回数を数える台帳はAI社内研修のやり方に、研修の翌週に誰が何をするかの決め方はAI研修の設計の原則にあります。ここで足すのは、同じ台帳を人ごとに縦に読むことだけです。

使っていない人がいたら、その週のうちに理由を本人に聞きます。当社のサービスページの言葉では「利用状況を測り、使われない理由をその場で潰す」です。理由を溜めて次の研修でまとめて答えるのではなく、聞いたその場で手当てするという意味で使っています。

聞いた理由を分けるときは、使う業務が自分に無いのか使い方がわからないのかの2つから始めると直し方を選びやすくなります。総務省の令和8年版情報通信白書の一般国民向けアンケートで生成AIサービスを使ったことがない人に理由を尋ねると、日本ではテキスト生成AIについて「自分の生活や業務に必要ない」が42.4%、「使い方がわからない」が38.8%でした。「使い方がわからない」の割合は、調査した4か国の中で日本が最も高い値です(総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIサービスを利用しない理由」/2026年10月30日閲覧)。職場の調査ではなく個人に尋ねた結果なので、社内で理由を分けるときの目安として読みます。

2つの理由は直し方が違います。使う業務が無いと答えた人には、その人の担当業務のどこでAIを使うかを先に決めます。使い方がわからないと答えた人には、前の節で作った型をその人の業務の題材で一緒に使ってみせます。

使う場面を決める手段として、同ガイドラインはヒアリング事例から利用の義務化を紹介しています。週報のように毎週同じ形式で書く反復的な報告文書に生成AIを使うのは非常に効果的だとし、誤字脱字の添削やメールのドラフトのように形式が確定した通常業務で利用を強制する施策は利用率向上の一助となることが期待できるとしています。ただし同ガイドラインは、紹介した対策例はヒアリングした組織での対策にすぎず、行っても利用率の問題が必ず解消されるわけではないと断っています。そのうえで、自分の組織で利用率が低い根本原因を特定してから対策を講じることが重要だとしています(IPA 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。

当社の見立てでは、義務化は使う場面を上から決めるやり方です。理由が「業務が無い」側にある人には効きますが、「使い方がわからない」側にある人には型と一緒でないと形だけの利用になりかねません。

型は配って終わりにせず、使う人が自分で直して別の業務に広げられる状態まで持っていく

型は配って終わりにせず、使う人が自分で直して別の業務に広げられる状態まで持っていきます。配っただけの型は、作った人にしか直せないという新しい属人化を生むからです。業務の中身や扱う書類が変わるたびに型は古くなり、直せる人が1人なら、その人が忙しい週に型は止まります。

当社が事例ページに公開しているBCP(事業継続計画)支援企業の例では、課題の欄にスタッフのスキル差による品質のばらつきと、AIを使いこなせていない状態が並んでいます(事例:BCP支援企業のAI活用定着)。

スキル差によるばらつきは業務の属人化の側に、使いこなせていない状態はAI利用の偏りの側に当たります。1つの職場に2つの属人化が同時にあった例として読めます。

取り組みの欄に並ぶ3つを2つの属人化に重ねると、業務で使える指示の型を用意した研修は品質の差と使い方の入口を一度に扱い、日常業務への組み込みは使う人の偏りを扱っています。使う場面を先に決めるという前の節の直し方は、日常業務への組み込みに当たります。3つ目のスタッフ自身が使い方を改善・拡張できる状態までの支援は、型そのものが新しい属人化にならないための取り組みとして読めます。

使う人が自分で直せる状態は、外から見ると2つの動きで分かります。出来上がりが外れたときに型の材料の欄や書かせないことの欄を自分で書き換えていることと、似た業務が来たときに型を写して使い始めていることです。どちらも起きていなければ、型はまだ配った人の持ち物のままです。

同ガイドラインも、効果的なプロンプトの共有をユーザへの教育方法の1つに挙げています。具体例を通じてユーザがプロンプトの作り方を学び、実際の業務に応用できるようにすることで業務効率の向上に寄与できるという書き方です(IPA 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム7期生「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。具体例から作り方を学んで業務に応用するという書き方は、使う人が自分で型を直せる状態と重なります。

型を使うだけで中身を考えなくなる心配もあります。DX動向2026のAI導入・運用上の課題では、「生成AIに依存しすぎて社員のスキルが低下する」を挙げた企業が15.5%ありました(図表3-16・2025年度調査の回答1,770社。IPA「DX動向2026」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。使う人が型の欄を自分で書き換える場面を残しておけば、型の中身を考える機会も残ります。定着を見るときも、ここでは型を直す人が増えているかだけを見ます。

詳しい人の仕事は、型を作って直す役に移る

詳しい人の仕事は、型を作って直す役に移ります。属人化の解消は詳しい人を要らなくすることではなく、その人の頭の中にあった差の出る箇所を型に移し、型が古くなったら直す役を任せることです。

詳しい人が足りないと感じている企業は多くあります。DX動向2026のAI導入・運用上の課題で最も多かったのは「専門人材が不足している」の50.1%で、「生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している」の45.8%が続きます。IPAはこれに「適切な利用を管理するためのルールや基準の作成が難しい」の39.7%を加え、人材不足・リテラシー不足・ガバナンス整備の遅れを三大課題としています(図表3-16・2025年度調査の回答1,770社。IPA「DX動向2026」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。足りない詳しい人が全員の依頼を代わりに引き受けている限り、その人の手は空きません。

型を作って直す役の仕事は3つです。成果物を並べて差の出る箇所を見つけること、使っていない人の理由を聞いて型か場面を直すこと、そして直した日と直した箇所を型の横に残すことです。当社のAI導入支援のページでは、研修の欄に「うまくいくプロンプトを社内の共有資産にし、現場の推進役を育てます」と書いています。

総務省の令和8年版情報通信白書は国立情報学研究所の佐藤一郎教授へのヒアリングから、AIを企業の資産として位置付けられる理由の1つを挙げています。これまで現場や個人のレベルで蓄積されてきた知見を、無形資産として企業全体で活用できるようになることです。同じ節によると、ヒアリングしたAI活用先進企業の多くは事業部門の現場の個別のニーズや課題意識を検討の起点にしていました。そこにDX推進部門が、アイデアの創出・技術的な助言・セキュリティ対策・効果測定のほかにAIスキル等の学習や知見共有の機会を設けるといった伴走支援を担っていたという記述です(総務省「令和8年版 情報通信白書 AI導入・活用を効果的に進めていくために重要となる要素」/2026年10月30日閲覧)。DX推進部門を持たない会社では、詳しい人がこの役を小さく担う形が近いと当社は考えています。

誰が何をできるかの把握に手を付けている会社は、まだ多くありません。DX動向2026では、AIの影響を踏まえた人材育成・確保の項目のうち「人材に必要なスキルの把握」に着手している企業が9.5%でした(図表4-13・回答1,776社)。着手している割合はIPAがAI導入効果「高」に分けた企業で21.5%、「低」に分けた企業で12.0%でした。IPAはAIの効果を高く実感している企業ほど必要スキルの把握などに取り組んでいると述べています(図表4-14。IPA「DX動向2026」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。どちらが原因かまでは調査から言えませんが、成果物を人ごとに並べる作業はスキルの把握を1業務の範囲で小さく始める方法にもなります。

推進役の選び方と、うまくいった指示を持ち寄る共有会の作り方はAI人材の育て方にまとめています。

使う人が偏っていても直さなくてよいのは、AIを使う業務がその人たちの担当にしかない場合である

使う人が偏っていても直さなくてよいのは、AIを使う業務がその人たちの担当にしかない場合です。偏りを全社員の利用率で測ると、AIを使う業務を持っていない人まで「使っていない人」に数えてしまいます。その数字を上げようとして全員に使い道を探させると、使わなくてよい人の時間が減るだけです。

AIを使う業務が無いと考える会社や人は、調査にも一定の割合で出てきます。DX動向2026のAI導入・運用上の課題では、「生成AIを活用できそうな業務がない」を挙げた企業が15.6%ありました(図表3-16・2025年度調査の回答1,770社。IPA「DX動向2026」(PDF)/2026年10月30日閲覧)。使う人の偏りの節で引いた総務省のアンケートで「自分の生活や業務に必要ない」と答えた人も、近い側にいると読めます。生活と業務の両方を含む選択肢で、職場に限った調査ではないためです(総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIサービスを利用しない理由」/2026年10月30日閲覧)。

見るのは、対象業務の担当者の中での偏りだけです。担当者の中で使っている人と使っていない人に分かれていれば直し、担当者が全員使っていて担当でない人が使っていないだけなら、その偏りは業務の割り振りの結果として残します。

品質の差にも、直さなくてよいものがあります。受け取る側が直していない差は、言い回しの好みや段落の分け方の違いのように型に入れても型が長くなるだけのものです。対応のたびに判断が変わる業務を型にしない話は業務マニュアルの生成AI作成の後半にあるので、そちらに譲ります。

生成AIの属人化解消についてよくある質問

Q. 研修をすれば属人化は解消できますか?

研修が効くのは、使う人の偏りの入口までです。研修の当日は全員が使えても、使う業務と場面が決まっていなければ翌週から元のやり方に戻ります。研修の前に受講者ごとにどの業務で使うかを1つずつ決めておくと、翌週以降の名簿がそのまま作れます。品質の差は研修だけでは直らず、成果物を並べて型を直す作業が別に要ります。教材の作り方と研修後の数え方はAI社内研修のやり方にあります。

Q. AIツールを全員に配れば、使える人の偏りはなくなりますか?

なくなりません。偏りは配った範囲ではなく、使う場面が決まっているかどうかで決まるからです。当社のAI導入支援のページのよくある質問にも、使う場面が決まらないまま配ると利用は一部の人で止まると書いています。配る前に決めるのは、誰がどの業務のどの場面で使うかです。

Q. 品質の差は誰が判定すればよいですか?

判定するのはその業務の出来上がりを受け取る側で、型を直す役はその判定の場に一緒にいる形にします。受け取る側は後の工程の担当者や外に出す前に確かめる人で、どこを毎回直しているかを一番よく知っています。判定と直しの担当が離れていると、何が直されたのかが型に戻ってきません。

Q. 営業の属人化にも同じ直し方が使えますか?

並べて差を見る考え方は使えますが、営業はAIの型より先に追客の順番と商談にする条件を文書にするところから始まります。反響への対応から追客までを仕組みにする手順は不動産営業の属人化を解消する仕組み化にまとめています。

SAIの視点:使う人の偏りも属人化と呼んでおくと、直すのが品質の側だけで止まらない

2つの属人化に分けて当社のBCP支援の事例ページを読み直すと、属人化という言葉が出てくるのは結果の欄の1行だけで、提供業務の品質と同じ行に書かれています。スタッフが自分でAIを使うことや新しい業務に活用が広がることは別の行にあり、属人化とは呼んでいません。事例ページの記載の範囲で言えるのはここまでですが、当社はこの書き分けを、事例ページを書いた時点では属人化を品質の側の言葉として使っていた表れと読んでいます。使う人の偏りまで属人化と呼んでおけば、型を配って出来上がりがそろった時点で直すのを止めずに済みます。

株式会社SAIのキャラクターが、丸いテーブルを囲む3人の同僚のうち1人のノートパソコンの画面を指さし、ほかの2人がそれをのぞき込んでいるイラスト

広告代理店の事例は、属人化していた作業を別の方向から扱った例です。課題の欄にはSNS投稿の作成と予約が手作業で担当者に属人化していたとあり、当社は投稿文と画像案の生成から投稿の予約・反応の集計までを仕組みにしました。当社はこの例を、使う人を増やす方向ではなく作業そのものを仕組みに移す方向の例と読んでいて、使う人が偏っていても直さなくてよい場合の節と同じ側に置いています。

手元で先に確かめてほしいのは、詳しい人の手順のうちどれなら型にできるかです。候補の業務が決まったら、その業務の名前と誰がやると出来上がりが違うかを、個人名ではなく役割や経験年数で一言書いてください。担当している人の数より、その一言のほうが並べる成果物を選ぶ手がかりになります。あわせて、AIをいま使っている人と使っていない人がどう分かれているかも添えてください。送り先はAI導入支援のページ下部にある相談の入口です。

出典と確認日

外部の出典はいずれも2026年10月30日閲覧。IPAが掲載した卒業プロジェクトのガイドラインは中核人材育成プログラムの卒業プロジェクトの成果物で、有効期限を過ぎた文書として参照した。