
Key Takeaways
- Googleマップのポリシーは、口コミの投稿と引き換えに割引や無料の商品などのインセンティブを提供する行為・肯定的な口コミを選択的に募る行為・雇用関係や取引関係のある人の投稿を禁じている。見返りなしにリンクやQRコードで頼む形はGoogleが勧めている。
- 消費者庁のステマ告示(令和5年10月1日施行)で問われるのは口コミが「事業者の表示」に当たるかで、規制対象は事業者であり投稿した客は対象外。割引程度の対価で内容の指示がなければ当たらないが、星5や推奨コメントを条件にすると当たるとQ&Aにある。
- 運用基準は対価に「イベント招待等のきょう応」を含めており、明示の指示がなくても表示内容を決定できる程度の関係性があれば事業者の表示になり得る。ステマ告示違反は措置命令の対象で、告示違反そのものは課徴金納付命令の対象外(優良誤認・有利誤認を含む場合は別)。
- 割引や粗品と引き換えの依頼は、ステマ告示に当たらなくてもGoogleのポリシーと景品類の規制(取引付随性・総付景品・仕事の報酬との区別)が別にかかる。
- 当社は企画しているイベントの案内で参加の条件と口コミのお願いを同じ文に置きかけ、依頼を条件と切り離す・後日全員に同じリンクを送る・内容は自由と明記する・星の指定はしない・率直にと添える形に書き直した。
口コミをお願いする文面を書いていて手が止まるのは、お礼を付けてよいのかと、星5と書いてよいのかの2点です。消費者庁のQ&Aで割引程度の対価なら告示に当たらないと読んで安心した先に、Googleのポリシーが割引そのものを禁じているという別の線があります。当社が企画しているイベントの案内で参加の条件と口コミのお願いを同じ文に置きかけた前後の形と、根拠にした原文を並べます。
Googleのルールはビジネス プロフィール ヘルプとマップのコンテンツ ポリシーの日本語版を、消費者庁の資料は告示・運用基準・Q&A・措置命令の原文を2026年9月27日に読んだ範囲だけを書きます。法令の当てはめは依頼の文面と見返りの中身で変わるため、個別の判断は弁護士や行政書士などの専門家に確認してください。当社の依頼文は前後の形だけを書き、イベントの中身には触れません。
Googleのポリシーが禁じる依頼は見返り・選別・利害関係者の3つで、リンクを送って頼む形は認められている
図は左に「やってよい依頼の形」を、右に「違反になりうる形」を並べ、それぞれに根拠になるルールの名前を添えたものです。切り分ける軸は、見返りの有無・相手の選び方・内容の指定・書き手の立場の4つです。
1つ目の軸は見返りです。Googleマップの投稿ポリシーは「評価の操作」の項で、クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正または削除と引き換えにインセンティブを提供する行為を禁じています。インセンティブの例には「金銭的報酬、割引、無料の商品やサービスなど」が挙がっています(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)。ビジネス プロフィール ヘルプの冒頭にも「重要」の注記があります。クチコミの投稿や変更や否定的なクチコミの削除と引き換えに「無料または割引価格で商品やサービスを提供するといったインセンティブを顧客に提供することは、虚偽のエンゲージメントと見なされ、固く禁じられています。」と書かれています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」/2026年9月27日閲覧)。割引や無料の商品と引き換えに頼む形は、金額の大小にかかわらずここに入ります。
2つ目の軸は相手の選び方です。同じポリシーは「顧客からの否定的なクチコミの投稿を妨げたり禁止したり、肯定的なクチコミを選択的に募ったりする行為」も禁じています(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)。満足した人にだけ頼む運用は、この「選択的に募ったりする行為」に当たります。ヒントの側も「正直で客観的なクチコミは、見込み顧客にとって有益な情報となります。肯定的なフィードバックと否定的なフィードバックの両方が投稿されている場合に、顧客はそれらのクチコミが信用できると感じます。」と書いています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」/2026年9月27日閲覧)。
3つ目の軸は書き手の立場です。ポリシーは「利益相反に基づくコンテンツ」を禁じています。利益相反には「現在または過去の雇用関係、契約関係や顧問関係」のほか職業上や個人的なつながりが含まれます。例に挙がるのは「業界の競合他社、家族関係など」です。「実体験に基づいていないコンテンツや、対象の場所や商品を正確に表現していないコンテンツ」は虚偽のエンゲージメントとして禁止されています。「他人、グループ、組織になりすまして投稿または共有されるコンテンツ」はなりすましとして禁止です(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)。従業員・取引先・家族に書いてもらう形は、見返りがなくてもこの項に触れます。
ポリシーの概要ページは「投稿や編集の内容は、実際の体験や情報に基づくものでなければなりません」としています。違反時の措置はコンテンツの削除や編集の不承認や機能の使用制限で、「全面的および恒久的にアカウントを停止したりすることがあります」とも書いています(Google「マップのユーザー作成コンテンツに関するポリシー」/2026年9月27日閲覧)。見返りで集めた口コミは、この削除の対象になり得ます。
一方で、見返りなしでリンクやQRコードを送って頼むことはGoogleが勧める形です。ベストプラクティスの第1項は「クチコミの投稿をユーザーに促す: クチコミを投稿してもらうために、Google リンクにアクセスするか、QR コードをスキャンするようユーザーに依頼できます。」です(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」/2026年9月27日閲覧)。リンクとQRコードはビジネス プロフィールで「クチコミを読む」から「クチコミを増やす」を選び、コピーアイコンでリンクを取るか、QRコードを右クリックして画像として保存します。置き場所としてGoogleが挙げるのは「領収書に含める」「感謝メールに含める」「チャットでのやりとりの最後に追加する」「QR コードを印刷して店舗に掲示する」で、メールやWhatsAppメッセージやFacebook投稿での依頼も可としています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「リンクまたは QR コードを作成してクチコミをリクエストする」/2026年9月27日閲覧)。線を越えるのは道具ではなく、添える条件のほうです。
消費者庁のステマ規制で問われるのは口コミが誰の表示かで、星や内容を指定すると事業者の表示になる
いわゆるステマ規制の正式名称は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)です。告示は「不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条第三号の規定に基づき」指定され、本文に「令和五年十月一日から施行する」とあります。告示が出た日は令和5年3月28日で、施行日とは半年ほど離れています。指定される表示は「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」で、要件は事業者の表示であることと一般消費者がそれを判別しにくいことの2つです(消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年内閣府告示第19号)」(PDF)/2026年9月27日閲覧)。
規制の相手は口コミを書いた客ではありません。消費者庁は「規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。」と書いています(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」/2026年9月27日閲覧)。Q&AのQ1も対象を「自己の供給する商品又は役務の取引に関する表示について、その内容の決定に関与した事業者(いわゆる広告主)」としています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。運用基準の注も「事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない」と書いています(消費者庁「「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準」(PDF)/2026年9月27日閲覧)。問われるのは依頼した事業者の側です。
では割引と引き換えの依頼は告示に触れるのか。Q&AのQ6前段が扱うのは、サービス利用後に予約サイトへ口コミを投稿することを条件に割引価格で提供する場合です。「口コミ投稿の内容についての指示は含まれていません」「サービスを割引価格で提供するという程度の関係の下であって、割引程度の対価」であれば表示内容の決定に関与しているとはいえず、通常は「事業者の表示」に当たらず告示に違反しないとしています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。運用基準も同じ向きで、投稿の謝礼として「次回割引クーポン等を配布する場合であっても」投稿内容について「情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われておらず」自主的な意思で内容を決めたと認められる投稿は事業者の表示に当たらない例に挙げています(消費者庁 運用基準(PDF)/2026年9月27日閲覧)。
ここで読むのをやめると誤ります。Q6が答えているのは告示に当たるかどうかだけで、前の節で見たとおりGoogleのポリシーは割引と引き換えの依頼そのものを禁じています。見返りの中身には次の節で見る景品類の規制も別にかかります。「割引程度ならよい」は、消費者庁の告示に限った話です。
線が変わるのは内容を指定したときです。Q6後段は、口コミ投稿に「星5」を付けることを条件にした場合は「事業者は表示(投稿)の内容を決定しているといえるため、『事業者の表示』に当たる」としています。「星5」ではなくサービスの品質や内容や価格について推奨するコメントを条件にした場合も同様です。Q8が扱う感想投稿を応募条件にした抽選キャンペーンでは、具体的な内容の指示がなく投稿内容が抽選結果に影響しなければ事業者の表示に当たらない一方で「毎日食べたい美味しさ!」のような具体的な感想を書くことを条件にすると事業者の表示に当たるとしています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。
Googleマップの口コミで星の数を条件にした措置命令も公表されています。ここでは当社が原文を確認した2件を挙げます。消費者庁は令和6年6月6日に医療法人社団祐真会に対し、Googleマップの口コミ投稿欄で「★★★★★」又は「★★★★」の投稿をすることを条件にインフルエンザワクチン接種費用から割り引くことを伝えて来院者に投稿させた表示が告示の指定する表示に当たるとして景品表示法第7条第1項に基づく措置命令を行いました(消費者庁「医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について」(PDF)/2026年9月27日閲覧)。令和7年3月17日には医療法人社団スマイルスクエアに対し、口コミ投稿欄に星5と併せて感想を投稿すること又は星5を投稿することを条件にギフトカードの提供または治療費の割引を伝えて来院者に投稿させた行為について同じ条項に基づく措置命令を行いました(消費者庁「医療法人社団スマイルスクエアに対する景品表示法に基づく措置命令について」(PDF)/2026年9月27日閲覧)。2件とも、星の数を条件に割引やギフトカードを伝えて投稿させた点をもって「表示内容の決定に関与しているものであり、当該投稿による表示は事業者の表示と認められる」としています。Q6前段の割引だけの例と分かれるのは、星の指定の有無です。
指示を文にしていなくても事業者の表示になる場合があります。運用基準は「事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性」があれば事業者の表示になるとし、判断要素として「具体的なやり取りの態様や内容」「対価の内容、その主な提供理由」「関係性の状況」を挙げています。注記は対価を金銭や物品に限らず「対価性を有する一切のもの」とし、経済上の利益の例に「イベント招待等のきょう応」を挙げています。事業者が「表示してもらうことを目的に」商品を無償で渡して受け取った側が「事業者の方針や内容に沿った表示を行う」場合や、投稿すれば今後の取引につながると「言外から感じさせたり」「言動から推認させたり」した結果の投稿も事業者の表示になり得るとされています(消費者庁 運用基準(PDF)/2026年9月27日閲覧)。イベント招待などの見返りは、この注記の「きょう応」に当たる対価です。対価があること自体で事業者の表示になるのではなく、内容の指示や関係性と合わせて判断されます。
自発的に書かれた口コミは対象外です。Q21は、自主的な意思に基づく投稿は「『事業者の表示』に当たらないため、『PR』等と記載する必要はありません」としています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。逆に事業者の表示に当たる投稿を残すなら、事業者の表示だと分かる形にする必要があります。運用基準が明瞭な表示の例に挙げるのは「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言による表示です(消費者庁 運用基準(PDF)/2026年9月27日閲覧)。
集めた口コミを自社サイトに載せるときにも線があります。運用基準は、第三者の投稿を「恣意的に抽出すること(…評判を向上させる意見のみを抽出しているにもかかわらず、そのことが一般消費者に判別困難な方法で表示すること。)なく」変更も加えずに「そのまま引用する場合」は事業者の表示に当たらないとしています(消費者庁 運用基準(PDF)/2026年9月27日閲覧)。良い口コミだけを選んで並べる「お客様の声」は、この条件から外れる可能性があります。
違反したときの措置は措置命令です。措置命令は「不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる」ものです。課徴金納付命令は「景品表示法第5条第3号に係るものを除き」課されるため、ステマ告示の違反そのものは課徴金の対象外です。ただしQ&AのQ2は「違反行為の内容に優良誤認表示又は有利誤認表示が含まれる場合は、当該行為が課徴金納付命令の対象となることがあります」と注記しています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。「都道府県知事も景品表示法に基づく権限を有しており、違反行為者に対して、措置命令を行うことができます」ともあります(消費者庁「景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」/2026年9月27日閲覧)。ここまでの当てはめは依頼文と見返りの中身で変わるので、個別の判断は弁護士や行政書士に確認してください。
景品表示法では見返りの中身に二重価格表示と景品類の規制が別にかかる
ステマ告示に当たらなくても、見返りの中身そのものに景品表示法の別の規制がかかります。割引なら価格の表示の規制で、粗品や商品券なら景品類の規制です。
「口コミを書いたら通常価格から割引」と案内するなら、その通常価格が比較対照価格になります。消費者庁は、同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照価格とする場合は不当表示のおそれはないとしています。そうとはいえない価格を用いる場合は「いつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるかなどその内容を正確に表示しない限り、不当表示に該当するおそれ」があるとしています(消費者庁「二重価格表示」/2026年9月27日閲覧)。有利誤認表示は「実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの」などを指します(消費者庁「有利誤認とは」/2026年9月27日閲覧)。口コミの文言を自社の広告に使って品質を打ち出す場合は、「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」などを指す優良誤認表示の規制も念頭に置きます(消費者庁「優良誤認とは」/2026年9月27日閲覧)。
粗品や商品券を渡すなら景品類の規制です。景品類とは「1 顧客を誘引するための手段として 2 事業者が自己の供給する商品又は役務(サービス)の取引…に付随して 3 取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」で内閣総理大臣が指定するものです。指定には物品・金銭・金券・商品券のほか、映画や演劇やスポーツや旅行などへの招待や優待を含む「きょう応」や役務が入り、「正常な商慣習に照らして値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益」などは含みません。「取引に付随」する提供には「取引を条件として他の経済上の利益を提供する場合」のほか、取引を条件としなくても「小売業者又はサービス業者が、自己の店舗への入店者に対し経済上の利益を提供する場合」など取引の相手方を主たる対象とするときが入ります(消費者庁「景品に関するQ&A一覧」(PDF)/2026年9月27日閲覧)。来店した人や利用した人に口コミの謝礼を渡す設計は、この取引付随性を満たす側に入ると考えられます。
口コミを書いた人全員に渡す設計は「総付景品」の類型で検討することになります。総付景品とは「一般消費者に対して『懸賞』…によらないで提供する景品類」で、「商品又は役務の購入者や来店者に対してもれなく提供する景品類」がこれに当たり、先着順の提供も原則ここに入ります。「仕事の報酬等と認められる金品の提供は、景品類の提供に当たりません」という区別はあります。ただしQ&AのQ53が扱う事例では、アンケートが誰でも簡単に回答できるものであるため謝礼は「通常、仕事に相応する報酬とは認められない」と考えられ景品類に該当するとされています(消費者庁「景品に関するQ&A一覧」(PDF)/2026年9月27日閲覧)。数行の口コミへの謝礼が仕事の報酬に当たるかは、このアンケートの例と並べて考えることになります。
総付景品でも、正常な商慣習に照らして適当と認められる「見本その他宣伝用の物品又はサービス」や「開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービス」などには規制が適用されません。総付景品には限度額の定めもありますが、金額はこの記事では扱いません(消費者庁「景品に関するQ&A一覧」(PDF)/2026年9月27日閲覧)。
割引や粗品と引き換えの依頼は、Googleのポリシー・ステマ告示・景品類の規制の3層で別々に問われます。告示に当たらなくても残りの2層は消えません。
当社は参加の条件と口コミの依頼を切り離し、後日全員に同じリンクを送る形に書き直した
当社の場合、企画しているイベントで、当日の感想をGoogleの口コミとして投稿してほしいと参加者にお願いする案を検討しました。最初の案は参加の条件と口コミのお願いを同じ文の中に置くもので、読み方によっては口コミが参加の見返りに見える形でした。案内を出す前にGoogleのポリシーと消費者庁の資料を確かめ、次の5点に改めました。
| 書き直した形 | 根拠にしたルール |
|---|---|
| 口コミの依頼は参加の条件や特典と切り離す | Googleのポリシー(インセンティブの禁止)・運用基準(イベント招待等のきょう応は対価) |
| 後日、参加者全員に同じように口コミ用のリンクを送る | Googleのポリシー(選択的に募る行為の禁止)・Googleのヒント(リンクで依頼) |
| 書くかどうかも内容も自由と明記する | 運用基準(情報のやり取りが一切なく自主的な意思で決めた投稿) |
| 星の数や「良い評価を」といった内容の指定はしない | Q&AのQ6後段・措置命令の例 |
| 良かった点も物足りなかった点も率直にと添える | Googleのヒント(両方があると信用できる) |
1つ目は切り離しです。最初の案の問題は依頼の言葉ではなく置き場所で、参加の条件を書いた文の中に口コミのお願いがあると読み手には参加と口コミが引き換えに見えます。Googleのポリシーは口コミの投稿と引き換えのインセンティブを禁じ(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)、運用基準は対価に「イベント招待等のきょう応」を含めています(消費者庁 運用基準(PDF)/2026年9月27日閲覧)。書き直した形では、参加の条件を書いた文から口コミのお願いを切り離しました。
2つ目は相手と時期です。Googleは「肯定的なクチコミを選択的に募ったりする行為」を禁じ(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)、リンクやQRコードでの依頼はヒントの第1項で認めています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」/2026年9月27日閲覧)。全員に同じように口コミ用のリンクを送ることで満足した人にだけ頼む形を避け、当日ではなく後日に送ることで依頼が参加の条件として働かない形にします。
3つ目は書く自由の明記です。運用基準が事業者の表示に当たらない例に挙げるのは、投稿内容について「情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われておらず」自主的な意思で内容を決めたと認められる投稿です(消費者庁 運用基準(PDF)/2026年9月27日閲覧)。書くかどうかも内容も自由と一文で明記しました。
4つ目は内容の指定をしないことです。星5や「良い評価を」と内容を指定する形はQ6後段で「事業者の表示」に当たるとされ、先に挙げた措置命令2件でも同じ形が対象になっています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。「よろしければ高評価を」のような軽い一言も入れていません。
5つ目は添える一言です。良かった点も物足りなかった点も率直にと添えるのは、肯定と否定の両方があると信用できるというGoogleのヒントの説明を依頼文の側で実行するためです(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」/2026年9月27日閲覧)。否定的な感想を依頼文で先に受け入れておくと、後の返信も同じ姿勢で書けます。
口コミが付いたあとは返信を付け、報告するのはポリシー違反の口コミだけに絞る
返信は公開の場での対応です。Googleは「クチコミに対し、有用で前向きな返信をすることで、ユーザーの意見を尊重していることを示すことができます。」としています。返信は後から編集や削除ができます(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ユーザーからのクチコミを管理する」/2026年9月27日閲覧)。返信のヒントは「丁寧かつプロフェッショナルな対応を心がける」・「簡潔に」・「必要に応じて返信する」・「ビジネスライクにならず親しみのある対応を心がける」の4つです。「必要に応じて返信する」の本文には「すべてのクチコミに対して感謝の意を公開する必要はありません」とあります(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」/2026年9月27日閲覧)。
否定的な口コミへのヒントは6つあります。「プライバシーを保護し、個人的な攻撃を避ける」(メールまたは電話で直接連絡するよう依頼する)・「クチコミ投稿者が不快な体験をした理由を調べる」・「誠実に対応し、制限事項を説明する」・「必要に応じて謝罪する」・「返信をカスタマイズする」(名前またはイニシャルを添える)・「返信を速やかに行う」です(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」/2026年9月27日閲覧)。
当社の場合、Google ビジネス プロフィールの口コミは2026年9月27日時点で4件で、すべてに代表名義でオーナー返信を付けています。件数を増やすために特典を出したことはありません。
投稿の事実の誤りを直してもらう連絡は、評価を上げてほしいと頼むこととは別の扱いです。運用基準の注記は、投稿に誤記があり社会的評価を低下させるおそれがあるため修正を依頼しても「それだけをもって」事業者の表示とはされないとしています(消費者庁 運用基準(PDF)/2026年9月27日閲覧)。
消してほしい口コミが付いたときの原則は「削除の対象となるのは Google のポリシーに違反しているクチコミのみです」です。「内容に不満がある、気に入らないという理由だけで、クチコミを報告することはしないでください」とあります。「Google は、事業者とユーザー間の紛争には関与しません」とも書かれています。報告はビジネス プロフィールまたはクチコミ管理ツールから行い、「クチコミの評価には通常数日かかります」。再審査請求は1回限りで、スパムの自動検出で正当な口コミが削除されることもあり、誤って削除されたと考える場合はサポートへの問い合わせが案内されています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」/2026年9月27日閲覧)。低い評価というだけでは消えず、消えるのは最初の節で見た利益相反やなりすましのようにポリシー違反に当たるものです。
依頼する前に確かめるのは、見返り・相手・内容・書き手・掲載先の5つ
依頼文を出す前に、次の5つを順に確かめます。
- 見返りが付いていないか。割引・無料の商品・粗品・イベント招待のどれも、書いたら渡すという形ならGoogleのポリシーの「インセンティブ」に当たります(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)。運用基準は対価に「イベント招待等のきょう応」を含めています(消費者庁 運用基準(PDF)/2026年9月27日閲覧)。
- 全員に同じ依頼か。満足した人にだけ送る形は「肯定的なクチコミを選択的に募ったりする行為」です(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)。
- 内容や星の数を指定していないか。「星5」を条件にすると事業者の表示に当たり、推奨するコメントを条件にした場合も同様です(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。
- 頼む相手に従業員・取引先・家族が入っていないか。「現在または過去の雇用関係、契約関係や顧問関係」や「家族関係」は利益相反として禁止されています(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)。
- Google以外に載せるなら、その掲載先の規約を先に読んだか。依頼そのものを禁じるサイトもあります(次のよくある質問で扱います)。
5つのうち1つでも引っかかるなら、依頼文を直すより先に条件のほうを外します。
口コミの依頼についてよくある質問
Q. 口コミを書いてくれた人に、後からお礼の粗品を渡すのは問題ですか?
Googleのポリシー上は避ける形です。口コミの投稿と引き換えに「無料の商品やサービス」を提供する行為は禁止で、渡す時期を後にしても書いた人にだけ渡すなら投稿と引き換えの形です(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)。消費者庁の告示については、Q6が扱うのは割引の例ですが、内容の指示がなく「割引程度の対価」なら事業者の表示に当たらないとしています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。粗品もその程度の対価で内容の指示がなければ同じ向きで考えることになります。ただし来店者や利用者に渡す物品は景品類として総付景品の規制の対象になり得ます(消費者庁「景品に関するQ&A一覧」(PDF)/2026年9月27日閲覧)。当社は渡していません。物品の扱いは個別の判断になるので弁護士や行政書士に確認してください。
Q. 口コミを書いた客の側が、ステマ規制で処分されることはありますか?
消費者庁は規制の対象を「商品・サービスを供給する事業者(広告主)」とし、「企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。」と書いています(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」/2026年9月27日閲覧)。Q&AのQ1には、インフルエンサー等が広告主と共同して商品等を供給している場合は対象になるという但し書きがあります(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。
Q. 従業員が自分のSNSで自社の商品の感想を書くのは問題ですか?
消費者庁のQ3は、従業員が自身のSNSで自社商品の感想を投稿しても「それだけで直ちに」告示に違反すると判断されることはないとしています。ただし従業員の事業者内での地位や立場や担当業務などの「実態によっては」事業者の表示と判断される場合があるとしています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」/2026年9月27日閲覧)。Googleマップの口コミは別で、「現在または過去の雇用関係」は利益相反として禁止です(Google「禁止または制限されているコンテンツ」/2026年9月27日閲覧)。食べログも「店舗関係者の方が関係店舗に口コミを投稿することを禁止しています。」としています(食べログ「口コミガイドライン」/2026年9月27日閲覧)。
Q. 食べログやぐるなびやYelpでも、Googleと同じ考え方でよいですか?
掲載先ごとに規約が違います。食べログの口コミガイドラインは「金品またはそれに相当するサービスを受けることを目的とした口コミ、お店のPRとしての口コミについては、投稿を禁止しています。」としています。NG例には「無料招待にて訪問した際の口コミ」や割引クーポンのキャンペーンに参加して投稿した口コミが挙がっています(食べログ「口コミガイドライン」/2026年9月27日閲覧)。店舗側のルールでも口コミの投稿を誘引する表現は「景表法等の法令に違反するおそれもあることから、一律禁止しております。」で、NG例は「口コミ投稿いただいたお客様にはドリンク1杯サービスします」です(食べログ「店舗ページ広告表現ガイドライン」/2026年9月27日閲覧)。楽天ぐるなびのご利用ルール第6条は「一般ユーザーとして店舗の関係者が投稿する行為」や「店舗に対して、個人的利益を求める内容」を禁止していて、見返り付きの依頼を直接禁じる条文は確認できませんでした(楽天ぐるなび「ご利用ルール - 口コミ・メニューランキング」/2026年9月27日閲覧)。Yelpは依頼そのものを禁じる立場で、「Don't ask anyone to review your business, be it customers, mailing list subscribers, friends, family, etc.」とし、依頼された口コミは自動のソフトウェアが推奨しないことがあると説明しています(Yelp「Don't Ask for Reviews」/2026年9月27日閲覧)。Googleで認められる「リンクを送って頼む」形が、Yelpでは推奨から外れます。
SAIの視点:口コミの依頼文は、事実に出典を付ける記事と同じ作り方になる
口コミの依頼で当社が引っかかったのは法律の知識ではなく、案内文の1文の置き方でした。参加の条件と口コミのお願いが同じ文にあるだけで読み手には見返りに見え、ルールを読んだ後にしたのは文を分けることと頼む時期を後日にずらすことの2つでした。

当社は自社サイトの記事で、事実に出典を付け、実測は日付付きで書く運用をしています。プレスリリース配信の実測レポートは日次の数字を計測方法ごと公開し、構造化データの監査は本文に見えていない値を直した経緯を日付付きで残しました。口コミも同じ扱いで、書いてもらった口コミは当社の主張ではなく相手の記録なので、良い点も物足りない点もそのまま並ぶ状態を保ちます。
AI導入支援でも、AIに任せるのは下書きまでで、公に出す前に人が事実と照らす工程を置きます。口コミの依頼文や返信をAIで下書きする場合も同じで、見返りと内容の指定が入っていないかを人が確かめる工程を先に文章にしておきます。
最初に確かめるのは、いま使っている依頼文で参加や購入の条件と口コミのお願いが同じ文に入っていないかです。顧客への案内文や返信をAIで下書きする仕組みを考えているなら、いまの依頼文と返信の型と掲載先をお問い合わせからお送りください。