
Key Takeaways
- 開設2ヶ月強・被リンクほぼゼロのサイトが初のプレスリリースを配信した当日、BWTで計測したAI引用が0件から12件に増え、8日後には累計18件に達した。
- 引用元はBingインデックスを参照するCopilot等のAI。計測はBing Webmaster ToolsのAI Performanceレポートで、無料で追試できる。
- IndexNow導入でBingインデックス収載は11本から36本に増加。リリースはVOIXに転載され、AI Overviewにも自社サイトの引用を確認した。
- 公開後の再計測でAI引用は9月2日時点で累計68件に増加。ただし第2弾リリース当日(9月1日)は1件で、第1弾のような配信当日の跳ね上がりは再現していない。
- 本記事はn=1の時系列の相関であり因果の証明ではない。ブランドクエリの42位から7.1位への回復も同時期の順位変動の揺り戻しと重なり、リリース単独の効果とは断定できない。
「自社の情報がChatGPTやCopilotに出てこない」という悩みをよく聞くようになりました。生成AIに引用されるための施策はLLMOやAIO対策と呼ばれますが、日本語で読める実測データはほとんど公開されていません。語られているのは海外事例の翻訳か、計測方法の書かれていない体験談ばかりです。
そこで本記事では、当社が2026年8月17日に配信した設立後初のプレスリリースの前後で、AI検索からの引用数がどう変わったかを数値のまま公開します。結論を先に書きます。配信前に0件だったAI引用は配信当日に12件を記録し、8月25日時点で累計18件になりました。ただしこれはn=1の事例であり、因果を証明するものではありません。何をどう測ったかをすべて開示するので、自社で追試できる一次データとして読んでください。
前提:LLMOとは何か
LLMO(Large Language Model Optimization・大規模言語モデル最適化)とは、ChatGPTやCopilotなどの生成AIが回答を作るときに、自社の情報を参照・引用してもらうための最適化施策です。検索結果の順位を上げる従来のSEOに対し、LLMOはAIの回答面に引用元として登場することを狙います。
似た言葉にAIO対策があります。Google検索の上部にAIが要約を表示する「AIによる概要(AI Overview)」に、引用元として掲載されるための施策を指す言葉です。本記事の実測はこの両方に関わります。
実験の条件:開設2ヶ月強・被リンクほぼゼロのサイト
先に条件を正直に書きます。当社(株式会社SAI)は2026年6月設立の会社です。コーポレートサイトsai31.co.jpはドメイン開設から2ヶ月強で、外部からの被リンクはほぼゼロでした。ドメインの信頼も蓄積もない、もっとも不利な条件のサイトだと考えてください。
計測環境は次のとおりです。
- 計測ツール:Bing Webmaster Tools(Microsoftが無料提供するサイト管理ツール。以下BWT)のAI Performanceレポート。Bingのインデックスを参照するAIが自社ページを引用した回数を確認できます
- ベースライン:2026年8月11日にBWTへ登録して以降、AI引用は0件
- 事前施策:8月10日にIndexNow(ページの公開・更新を検索エンジンへ即時通知する仕組み)を導入
- 介入:8月17日10時、PR TIMESで設立後初のプレスリリースを配信(レベニューシェア型の新規事業開発支援の発表。リリース本文はこちら)
つまり「配信前のAI引用が0件」という明確な基準線があり、そこにプレスリリースという1つの介入を加えた形です。
実測結果:AI引用0件→当日12件→累計18件
配信前後で観測できた変化を並べます。
| 指標 | 配信前 | 配信後 |
|---|---|---|
| AI引用(BWT AI Performance) | 0件(8/11の登録以降) | 配信当日の8/17に12件、8/25時点で累計18件 |
| Bingインデックス収載 | 11本 | 36本(8/25時点) |
| 外部メディアからの言及 | 0件 | ニュースメディアVOIX(voix.jp)が転載 |
| GoogleのAI Overview | 掲載なし | 「株式会社SAI 恵比寿」の検索で自社サイトの引用を確認(8/25) |
順に補足します。
AI引用は配信当日に12件を記録しました。 これはBWTのAI Performanceレポートで確認した数値で、計測期間中のピークです。0件が続いていたサイトにとって、配信当日というタイミングでの変化は明確でした。8月25日時点の累計は18件です。引用しているのはMicrosoft CopilotなどBingインデックスを参照するAIです。
Bingインデックスの収載は11本から36本に増えました。 これは8月10日に導入したIndexNowの効果が大きいと考えています。リリース配信の前から進めていた施策であり、AI引用の増加はリリース単体ではなく「インデックス整備+リリース」の組み合わせで起きた変化と捉えるのが正確です。
ニュースメディアVOIXがリリースを転載しました。 当社にとって初の外部メディア言及です。自社ドメインの外に、自社について書かれたページが生まれたことになります。
GoogleのAI Overviewにも引用を確認しました。 8月25日、「株式会社SAI 恵比寿」という検索でAIによる概要にsai31.co.jpの引用が表示されることを実際の検索結果で確認しています。
なお同時期に、ブランドクエリ「株式会社sai」のGoogle平均掲載順位(Search Console計測)が8/10〜16週の42.0位から8/17〜23週の7.1位に回復しています。ただしこの回復は、8月中旬の検索順位変動で急落した後の揺り戻しと同時期に起きたものです。リリースの効果と断定できないため、参考値として書き添えるにとどめます。
なぜプレスリリースがAI引用に効くと考えられるか
ここからは実測を踏まえた解釈です。仮説として読んでください。

第一に、CopilotなどのAIはBingのインデックスを参照して回答を作ります。 つまりBingに収載されていない情報は、そもそも引用の候補になりません。AI引用の前提条件はインデックス収載であり、当社の場合はIndexNow導入とリリース配信が収載の増加と重なりました。
第二に、プレスリリースは高信頼ドメインからの言及を短期間で作れます。 開設2ヶ月のドメインが自力で獲得できる言及には限界があります。PR TIMESのような大手プラットフォームに自社の情報が掲載されること自体が、新規サイトには得がたい外部からの言及になります。
第三に、転載によって「面」が広がります。 リリースはVOIXに転載され、同じ情報が複数のドメインに存在する状態になりました。AIが情報の確からしさを判断する材料は自社サイトの外にも増えていきます。1本の配信が複数ページの言及に増幅される構造は、プレスリリース特有の利点です。
まとめると「AIが参照するインデックスに載る」「信頼あるドメインに言及される」「転載で言及の面が広がる」という3つの経路が同時に動く点が、プレスリリースとAI引用の相性の良さだと解釈しています。
追試するための手順:当社が実際にやったこと
再現性の検証を歓迎します。当社が実際に行った手順は次の4つだけです。
- BWTに登録し、ベースラインを取る:Bing Webmaster Toolsにサイトを登録し、AI Performanceレポートで配信前の引用数を記録しておきます。当社は登録から配信まで6日間の「0件」を確認しました。基準線がないと変化を語れません
- IndexNowを導入する:ページの公開や更新をBingへ即時通知します。CMSやプラグインによっては設定だけで済みます。まずインデックス収載本数を増やすことが、AI引用の前提整備になります
- プレスリリースを配信する:当社はPR TIMESを利用し、発表に値する実態のある内容(新サービスの開始)を配信しました
- 前後を同じ方法で観測する:BWTのAI Performanceで引用数を、BWTでインデックス収載本数を、Search Consoleで検索順位を追います。AI Overviewへの掲載は実際の検索結果を目視で確認します
強調したいのは、ここに挙げたツールはすべて無料だということです。計測を先に整えることが、LLMOの効果測定の第一歩になります。
限界と注意:この数字が証明していないこと
誠実さのために、この実測の限界を明記します。
- n=1の事例です。 1社1回の配信結果であり、統計的な裏付けはありません。「プレスリリースを配信すれば必ずAI引用が増える」という一般化はできません
- 相関であって因果の証明ではありません。 配信当日に引用が増えたという時系列の一致は確認できましたが、IndexNow導入など複数の施策が並行しており、リリース単独の寄与は切り分けられません
- 検索順位の回復は施策の効果と断定できません。 ブランドクエリの42.0位から7.1位への回復は、8月中旬の順位変動による急落からの揺り戻しと同時期でした。都合よく施策の成果に数えることはしません
- 絶対数は小さい数字です。 累計18件という引用数は事業インパクトを語れる規模ではありません。意味があるのは「0件が動いた」という変化の検出です
よくある質問
Q. プレスリリースを配信すれば、AIに引用されるようになりますか?
断定はできません。本記事は1社の1回の配信を計測したn=1の記録であり、どのサイトでも同じ変化が起きる保証はありません。言えるのは、配信前0件だったAI引用が配信当日に12件を記録したという時系列の事実と、Bingインデックス収載・高信頼ドメインからの言及・転載という説明可能な経路があることまでです。自社で試す場合は、配信前にベースラインを計測しておくことをおすすめします。
Q. AI検索からの引用は、どうやって計測すればよいですか?
当社はBing Webmaster ToolsのAI Performanceレポートを使いました。Bingインデックスを参照するAI(Microsoft Copilot等)による引用回数を無料で確認できます。GoogleのAI Overviewへの掲載は、対象クエリを実際に検索して引用元の表示を目視で確認しています。いずれも特別なツールは不要で、本記事と同じ方法で追試できます。
Q. GoogleのAI Overviewに引用されるには何をすればよいですか?
確実な方法は当社にも分かりません。事実として書けるのは、開設2ヶ月強のサイトでもブランドに関する検索(「株式会社SAI 恵比寿」)でAI Overviewへの引用を確認できたことです。自社の実名に関するクエリは競合が少なく、最初に変化を観測しやすい場所だと考えています。まず自社名のクエリで現状を確認することが出発点になります。
続報:8月30日時点で累計58件(2026年9月1日追記)
本記事の公開から5日後、第2弾のプレスリリース配信に合わせて同じBWTのAI Performanceレポートで再計測しました。数値は2026年9月1日に取得したものです。BWTのデータには2日程度の遅延があり、この時点で見られる最新日は8月30日でした。
| 指標 | 8/25時点(前回計測) | 8/30時点 |
|---|---|---|
| AI引用 累計(8/11の登録以降) | 18件 | 58件 |
| 直近7日のAI引用(8/25〜8/30) | — | 40件 |
| Bingインデックス収載 | 36本 | 49本 |
| 被リンク(BWT計測) | — | 3 |
累計は18件から58件になりました。増えた40件はすべて8月25日以降の6日間に出ています。
ただし合計より日次の形のほうが重要です。 日次の生値では8月27日の20件が観測期間中の最大値でした。第1弾リリース当日の12件を上回っています。ただし8月27日は本記事を公開した日でもあり、この日に引用されていたのはレベニューシェア系のページが中心でした。どちらが効いたのかは切り分けられません。
意味があるのはその後です。8月28日はいったん0件に戻りました。ただし8月29日は7件、8月30日は8件です。第1弾配信当日の8月17日を除けば、8月26日までの日次はすべて0〜3件でした。直近2日はその範囲を超えています。2日分の観測なので断定はできませんが、引用のベースライン自体が持ち上がったと見ています。Bingインデックスの収載も36本から49本に増えました(エラー0・警告1・除外1)。被リンクはBWT計測で3件です。母数が小さいという条件は変わっていません。
引用の中身:クエリとページの偏り
今回の計測でBWTに「Citation Share」という指標が追加されていました。あるクエリでAIが引用した全ソースのうち、自社が占めた割合を示す数値です。直近7日のグラウンディングクエリは次の3つでした。
| クエリ | 引用数 | Citation Share |
|---|---|---|
| revenue share | 9件 | 8.41% |
| レベニューシェアとは | 7件 | 11.11% |
| レベニューシェア 意味 | 4件 | 33.33% |
「レベニューシェア 意味」の33.33%は、そのクエリでAIが挙げた引用元のおよそ3件に1件が当社ページだったという意味です。引用元ページの累計でもレベニューシェアの解説記事が26件で突出しています。次点のFDEの仕事内容の記事は7件、トップページは6件でした。
3つのクエリはいずれもレベニューシェア関連で、第1弾リリースのテーマと一致しています。ここからリリースのテーマがそのままAI引用のクエリになるという仮説が立ちます。ただしこれはn=1の観測に対する解釈であって、検証された法則ではありません。
次の検証:ベースラインがある状態への上乗せ
2026年9月1日10時、第2弾のプレスリリース(FDE伴走開発)を配信しました。第1弾は0件からの変化だったので分かりやすい実験でした。今回はすでに直近7日で40件というベースラインがある状態です。見るべき指標も変わります。FDE系のクエリがグラウンディングクエリに現れるか。現在7件のfde-project-phasesが伸びるか。先ほどの仮説が正しければ、この2つが動くはずです。結果は同じ方法で計測して追記します。
第2弾(2026-09-01配信)の初動:配信当日1件、翌日4件
2026年9月4日にBWTを再計測しました。反映されていた最新日は9月2日です。累計は63件から68件になりました。日次は8月31日が5件、配信当日の9月1日が1件、9月2日が4件です。第1弾の当日12件のような跳ね上がりは、第2弾では再現しませんでした。FDE系のページとクエリも、まだ大きくは動いていません。理由は切り分けられませんが、テーマの性質が関係している可能性はあります。第1弾には「レベニューシェアとは」という定義を問うクエリが実在し、定義を書いた記事が引用されやすい状況でした。FDEは日本語で問われる母数がまだ小さいのかもしれません。第1弾も配信10日後の8月27日に最大値が出ています。読者への示唆は2つあります。1回の配信で判断しないこと、そしてリリースのテーマ選びが引用のされやすさを左右する可能性があることです。9月8日と9月15日に同じ方法で計測し、追記します。
SAIの視点:自社サイトを実験台にして、実測で語る
私たち株式会社SAIは、AI導入支援を提供する会社として「まず自社で試し、数字で確かめてから語る」ことを方針にしています。今回の実測も、自社サイトという失敗できる実験台があったからこそ取得できたデータです。ここで得た計測設計——ベースラインを取る・介入を記録する・限界を明記する——は、AI導入支援で企業の効果測定を設計するときの手法と同じものです。
「自社の情報がAI検索に出ているか分からない」という段階の確認からで構いません。お気軽にご相談ください。