
Key Takeaways
- 当初の記事と後保存の日次記録が一致せず、配信前ゼロ・初期累計の断定を撤回した。差の原因は未確認で、訂正値の確定も保留している。
- BWTの対象はMicrosoft Copilot、BingのAI要約、一部の提携AI。全AI検索の引用総数や、順位・商談成果を表す指標ではない。
- IndexNow導入とBingインデックス収載の増加は同時期だったが、寄与は未検証。リリースのVOIX転載とGoogleのAI概要での引用も個別に観測した。
- 9月8日の計測では9月6日までの累計85件を記録した。第2弾の初動でFDE系は動かず、増分は同時期に更新したレベニューシェア記事に集中した。
- 1社の時系列観測で、配信単独の因果は証明できない。引用・検索順位・問い合わせを分け、配信前後の同じ長さの期間で比較する必要がある。
自社の情報がAI検索で引用されるようになっても、施策の効果をどの数字で判断すべきか迷うことがあります。配信後の引用数だけでは、プレスリリースと同時期のサイト更新のどちらが影響したかは分かりません。当社の観測記録を通じて、測れる範囲と比較前に確かめるべき条件を示します。
2026年10月2日訂正: 初版で「配信前0件、8月25日時点で累計18件」と記載しました。しかし2026年9月1日に保存したBWTの日次記録には、配信前の8月14日が1件・8月16日が3件とあります。保存した8月12日〜25日の日次合計も20件になります。元画面の期間設定や反映時点を再確認できていないため、不整合の原因と訂正値は未確定です。「0件から18件」を確定した成果として扱う説明を取り下げました。以下は自社1サイトの観測記録で、施策の因果を証明するものではありません。
前提:LLMOとは何か
LLMO(Large Language Model Optimization・大規模言語モデル最適化)とは、ChatGPTやCopilotなどの生成AIが回答を作るときに、自社の情報を参照・引用してもらうための最適化施策です。検索結果の順位を上げる従来のSEOに対し、LLMOはAIの回答面に引用元として登場することを狙います。
似た言葉にAIO対策があります。Google検索の上部にAIが要約を表示する「AIによる概要(AI Overview)」に、引用元として掲載されるための施策を指す言葉です。本記事の実測はこの両方に関わります。
実験の条件:開設2ヶ月強・被リンクほぼゼロのサイト
当社(株式会社SAI)は2026年6月設立の会社です。配信時点のコーポレートサイトsai31.co.jpはドメイン開設から2ヶ月強で、当時の記録では外部からの被リンクはほぼゼロでした。新しい自社サイト1件を対象とした観測です。
計測環境は次のとおりです。
- 計測ツール:Bing Webmaster Tools(Microsoftが無料提供するサイト管理ツール。以下BWT)のAI Performanceレポート。対象はMicrosoft Copilot、BingのAI要約、一部の提携AIです。全AI検索の集計ではありません(Microsoft公式説明、2026年10月2日確認)
- ベースライン:2026年8月11日にBWTへ登録。配信前ゼロという当初の説明は後保存の日次記録と一致せず、正確な基準値の確定は保留しています
- 事前施策:8月10日にIndexNow(ページの公開・更新を検索エンジンへ即時通知する仕組み)を導入
- 介入:8月17日10時、PR TIMESで設立後初のプレスリリースを配信(レベニューシェア型の新規事業開発支援の発表。リリース本文はこちら)
配信前の基準値に不整合があり、IndexNow導入も並行していました。1つの介入だけを比較した実験ではありません。
実測結果は期間と当初記録の不整合を確認する
配信前後で観測できた変化を並べます。
表は横にスクロールできます。
| 指標 | 配信前 | 配信後 |
|---|---|---|
| AI引用(BWT AI Performance) | 当初記録と後保存の日次が不一致。基準値は未確定 | 8/17の日次12件は両記録に一致。8/25累計は不一致で未確定 |
| Bingインデックス収載 | 11本 | 36本(8/25時点) |
| 外部メディアからの言及 | 当初の確認範囲では未確認 | ニュースメディアVOIX(voix.jp)が転載 |
| GoogleのAI Overview | 当初の確認範囲では未確認 | 「株式会社SAI 恵比寿」の検索で自社サイトの引用を確認(8/25) |
順に補足します。
配信当日の8月17日の日次は12件と記録しています。 当初の記事と9月1日保存のBWT日次記録で一致する値です。配信前ゼロと8月25日累計の説明には不整合があるため、この12件を「引用がゼロから増えた成果」とは扱いません。
Bingインデックスの収載は11本から36本に増えました。 BWTでの8月25日時点の記録です。8月10日のIndexNow導入と同時期ですが、通常のクロールやサイト更新の寄与と切り分けていません。IndexNowの公式FAQも、URLの送信はインデックス登録を保証しないと説明しています。IndexNow導入の効果が大きかったという当初の解釈は、検証済みの結論ではありません。
ニュースメディアVOIXがリリースを転載しました。 当社にとって初の外部メディア言及です。自社ドメインの外に、自社について書かれたページが生まれたことになります。
GoogleのAI Overviewにも引用を確認しました。 8月25日、「株式会社SAI 恵比寿」という検索でAIによる概要にsai31.co.jpの引用が表示されることを実際の検索結果で確認しています。
なお同時期に、ブランドクエリ「株式会社sai」のGoogle平均掲載順位(Search Console計測)が8/10〜16週の42.0位から8/17〜23週の7.1位に回復しています。ただしこの回復は、8月中旬の検索順位変動で急落した後の揺り戻しと同時期に起きたものです。リリースの効果と断定できないため、参考値として書き添えるにとどめます。
掲載と転載を確認しても引用への経路は断定できない
観測できた出来事と、まだ確かめられていない因果を分けます。
第一に、インデックス収載の変化を記録しました。 当社が観測したBWT対象面では、IndexNow導入とリリース配信がBing収載の増加と重なりました。これらの前後関係から、IndexNowやリリースが引用を増やしたと結論づけることはできません。
第二に、自社ドメインの外へ発表を掲載できます。 当社はPR TIMESにリリース本文を掲載しました。自社について読めるページが増えたことは確認できますが、大手サイトへの掲載がAIによる評価を高めたかは測っていません。
第三に、転載先にも同じ発表が載りました。 当社のリリースはVOIXに転載されました。同じ発表の転載は独立した第三者の検証とは異なり、転載件数だけで情報の信頼性やAI引用への効果は判断できません。
インデックスの収載・外部掲載・転載は個別に観測しました。どのページを経由して引用に至ったかと、掲載先がAIの評価に与えた影響は未確認です。
追試するための手順:記録の照合を加える
当社はBWT登録、IndexNow導入、リリース配信、前後の観測を行いました。記録の不整合を踏まえ、今後の追試では次のように期間保存と照合を加える必要があります。
- BWTに登録し、ベースラインを保存する:Bing Webmaster ToolsのAI Performanceで配信前の引用数を記録します。開始日・終了日・取得日時・対象面と日次値を一緒に残し、累計と合うか確かめます。当社の初期記録には不整合があり、この照合が不足していました
- IndexNowで更新を通知する:ページの公開や実質的な更新を対応する検索エンジンへ通知します。CMSやプラグインによっては設定だけで済みます。通知後はURL検査で収載を確認し、引用数とは分けて記録します
- プレスリリースを配信する:当社はPR TIMESを利用し、発表に値する実態のある内容(新サービスの開始)を配信しました
- 前後を同じ方法と期間で観測する:同じ長さの期間でBWTの引用数と収載本数を比較し、Search Consoleの順位は別に追います。AI Overviewの目視確認では検索語・日時・地域・ログイン状態を残します。同時期のサイト更新も記録します
BWTとSearch Consoleの計測機能は無料で利用できます。プレスリリースの配信条件とは分けて考え、計測を先に整えることがLLMOの効果測定の第一歩になります。
限界と注意:この数字が証明していないこと
誠実さのために、この実測の限界を明記します。
- 自社1サイトの観測です。 初回配信と続報の記録であり、対照サイトは設けていません。「プレスリリースを配信すれば必ずAI引用が増える」という一般化はできません
- 相関であって因果の証明ではありません。 配信当日に引用が増えたという時系列の一致は確認できましたが、IndexNow導入など複数の施策が並行しており、リリース単独の寄与は切り分けられません
- 検索順位の回復は施策の効果と断定できません。 ブランドクエリの42.0位から7.1位への回復は、8月中旬の順位変動による急落からの揺り戻しと同時期でした。都合よく施策の成果に数えることはしません
- 初期の比較値は未確定です。 当初の配信前ゼロ・8月25日累計と後保存の日次が一致しません。原因を照合するまで初期の増分や伸び率は出せません
- 引用数は事業成果ではありません。 BWT対象面の引用回数から、全AI検索での露出や問い合わせ・売上の増加は判断できません
LLMOとプレスリリースに関するよくある質問
Q. プレスリリースを配信すれば、AIに引用されるようになりますか?
断定はできません。自社1サイトの時系列観測で、第2弾では第1弾と同じ当日の急増を再現しませんでした。初期の配信前引用数にも記録の不整合があり、リリース単独の効果は確定していません。自社で試す場合は、同じ長さの比較期間を決めて配信前の基準値を保存してください。同時期の更新も残す必要があります。
Q. AI検索からの引用は、どうやって計測すればよいですか?
当社はBing Webmaster ToolsのAI Performanceを使いました。対象はMicrosoft Copilot、BingのAI要約、一部の提携AIで、全AI検索の引用総数ではありません。GoogleのAI Overviewは対象クエリで引用元を目視確認し、BWTとは別に記録しています。計測対象と期間を揃える手順はLLMOの測定にまとめています。
Q. GoogleのAI Overviewに引用されるには何をすればよいですか?
確実な方法は当社にも分かりません。事実として書けるのは、開設2ヶ月強のサイトでもブランドに関する検索(「株式会社SAI 恵比寿」)でAI Overviewへの引用を確認できたことです。自社の実名に関するクエリは競合が少なく、最初に変化を観測しやすい場所だと考えています。まず自社名のクエリで現状を確認することが出発点になります。
続報:8月下旬の引用推移を日次で確かめる
本記事の公開から5日後、第2弾のプレスリリース配信に合わせて同じBWTのAI Performanceレポートで再計測しました。2026年9月1日取得の記録で、この時点の最新日は8月30日でした。この計測時の遅延は2日程度です。
表は横にスクロールできます。
| 指標 | 8/25時点(前回計測) | 8/30時点 |
|---|---|---|
| AI引用 累計(当初記録の8/11登録以降) | 当初18件と記載。後保存の8/12〜8/25日次合計20件と不一致で未確定 | 58件(保存した8/12〜8/30の日次合計と一致) |
| 6日間のAI引用(8/25〜8/30・保存した日次値) | — | 40件 |
| Bingインデックス収載 | 36本 | 49本 |
| 被リンク(BWT計測) | — | 3 |
8月30日までの累計58件は、保存した日次の合計と一致しています。8月25日から30日までの6日間の日次は2・3・20・0・7・8件で、合計40件です。当初の「18件から58件への増分40件」とは期間の扱いを分けます。8月25日時点の累計に不整合があるため、初期累計の差分から増加量は確定しません。
ただし合計より日次の形のほうが重要です。 日次の生値では8月27日の20件が観測期間中の最大値でした。第1弾リリース当日の12件を上回っています。ただし8月27日は本記事を公開した日でもあり、この日に引用されていたのはレベニューシェア系のページが中心でした。どちらが効いたのかは切り分けられません。
9月1日保存のBWT日次では8月28日が0件、8月29日が7件、8月30日が8件です。第1弾配信当日の8月17日を除けば、8月26日までの日次はすべて0〜3件でした。直近2日はその範囲を超えていますが、2日分では継続的に基準値が上がったと判定できません。同じ計測時点でBingの収載は36本から49本へ増え、被リンクは3件でした。母数が小さいという条件は変わっていません。
引用の中身:クエリとページの偏り
2026年9月1日の計測ではBWTの「Citation Share」を記録しました。BWT対象面で同じグラウンディングクエリ(AIが情報を取得する際の検索語)に属する全サイトの引用のうち、自社が占めた割合です。Microsoftの公式説明では、順位や流入シェアを示す指標ではないとされています。当時のクエリ記録は次の3つです。元ログに「直近7日」と「8月25日〜30日」の両方が残り、クエリ表の表示期間は再照合が未了です。日次6日間の合計とは分けて読んでください。
グラウンディングクエリは引用活動の一部を示すサンプルで、利用者の入力質問や検索需要の全件ではありません(Microsoft公式説明)。表にないクエリが、質問されていないことを意味するわけではありません。
表は横にスクロールできます。
| クエリ | 引用数 | Citation Share |
|---|---|---|
| revenue share | 9件 | 8.41% |
| レベニューシェアとは | 7件 | 11.11% |
| レベニューシェア 意味 | 4件 | 33.33% |
9月1日取得のBWT記録で「レベニューシェア 意味」の33.33%は、対象範囲の引用件数に占める当社の割合です。利用者の質問の3回に1回で引用されたという意味ではありません。同じ取得時点のページ別累計ではレベニューシェアの解説記事が26件、FDEの仕事内容の記事が7件、トップページが6件でした。
3つのクエリはいずれもレベニューシェア関連で、第1弾リリースのテーマと一致しています。ここからリリースのテーマがそのままAI引用のクエリになるという仮説が立ちます。ただしこれはn=1の観測に対する解釈であって、検証された法則ではありません。
次の検証:ベースラインがある状態への上乗せ
2026年9月1日10時、第2弾のプレスリリース(FDE伴走開発)を配信しました。配信前に反映されていた8月25日〜30日の6日間の日次合計は40件です。第1弾の「配信前ゼロ」という説明は訂正したため、ゼロからの変化と上乗せを比べる実験とは扱いません。FDE系クエリがグラウンディングクエリに現れるか、ページ別引用が伸びるかを同じ方法で観測しました。
第2弾(2026-09-01配信)の初動:配信当日1件、翌日4件
2026年9月4日にBWTを再計測しました。反映されていた最新日は9月2日です。累計は63件から68件になりました。日次は8月31日が5件、配信当日の9月1日が1件、9月2日が4件です。第1弾の当日12件のような跳ね上がりは、第2弾では再現しませんでした。FDE系のページとクエリも、この時点では大きく動いていません。第1弾では「レベニューシェアとは」というクエリが記録されましたが、サンプルからFDEとの検索需要の大小は推定できません。第1弾も配信10日後の8月27日に最大値が出ており、1回の配信当日だけで判断しないことが追試時の注意点になります。
1週間後:リリースのテーマは動かず、既存記事が伸びた
2026年9月8日に再計測しました。反映されていた最新日は9月6日です。累計は68件から85件になりました。配信後6日間の合計は22件で、第1弾の同期間(8月17日から8月22日までの6日間で14件)を上回っています。ただし内訳を見ると、増えた17件はすべてレベニューシェアの解説記事への引用でした。FDE系のページは3ページとも横ばいのままで、FDE系のクエリもグラウンディングクエリに現れていません。同じ時期に当社はレベニューシェアの解説記事を全面リライトし、解説動画を公開して埋め込み、内部リンクも追加しています。リリースの寄与か記事更新の寄与かは切り分けられません。読者への示唆は2つあります。リリース単体でAI引用が動くとは限らないこと、そして既に引用されている記事に手を入れるほうが変化を観測しやすいかもしれないことです。
更新時点の範囲: 本記事に掲載したBWTの続報は9月8日取得・9月6日までの記録です。2026年10月2日の更新は保存済み記録の照合による訂正であり、10月の新しい引用実測値を追加したものではありません。
SAIの視点:自社サイトを実験台にして、実測で語る
私たち株式会社SAIは、AI導入支援を提供する会社として「まず自社で試し、数字で確かめてから語る」ことを方針にしています。今回の実測も、自社サイトという失敗できる実験台があったからこそ取得できたデータです。ここで得た計測設計——ベースラインを取る・介入を記録する・限界を明記する——は、AI導入支援で企業の効果測定を設計するときの手法と同じものです。
「自社の情報がAI検索に出ているか分からない」という段階では、計測対象・比較期間・同時期の更新記録を一緒に確認します。ご相談はこちら。