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経営

情シスがいない会社のAI導入|決める人と手を動かす人を分ける

執筆:清水 諒(株式会社SAI 代表取締役)

情シスがいない会社のAI導入|決める人と手を動かす人を分ける

Key Takeaways

  • 情シスがいない会社のAI導入で最初に分けるのは決める人と手を動かす人で、決める人は経営者か業務の責任者が入れない情報の線引きと止める判断を持ち、手を動かす人は社内に居なくてもよい。
  • IPAのDX動向2026ではAI導入・利活用のリーダーシップ体制はIT部門の長が46.0%で最多・経営層32.1%・現場の長27.5%の順で、CAIO(最高AI責任者)を置く企業は2.9%・CAIO以外の専任者は9.8%にとどまる(2026年10月4日閲覧)。
  • 手を動かす人を外に置く形は確定した要件を受けて納品で完了する受託より、何を作るかの特定から入り現場で使われるまで伴走して運用を続ける人へ引き継ぐ形のほうが情シスのいない現場には合う。
  • 当社の場合は情シスを置かずにウェブサイトの運用をClaude Codeに任せ、規則を指示ファイル・手順を運用文書・判断の記録を台帳に分けて公開・送信・改題・支払いだけを人に残し、本番反映は2026年9月24日から26日の3回とも既定の仕組みが止めた。
  • 向かないのは決める人が決まっていない会社と情シスの代わりを特定の担当者に全部任せる形で、内製に移る順番は運用を続ける人を先に決めてから作る範囲を広げることである。

組織図に情シスの箱が無いまま、AIツールの稟議だけが先に回ってくる会社があります。稟議書に無いのは、入れない情報を決める人と最後に止める人の役職名の一行です。決める人と手を動かす人の役割表と手を動かす人を外に置く二つの形を、情シスを置かない当社のサイト運用の記録を添えて示します。

外部の数値と記述はIPA「DX動向2026」・総務省「令和8年版 情報通信白書」・IPAの「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」とディスカッション・ペーパー・総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」を2026年10月4日に読んだ範囲です。IPAのガイドラインは中核人材育成プログラムの卒業プロジェクトの成果物でディスカッション・ペーパーは執筆者の見解であり、どちらもIPAの見解を代表するものではありません。同ガイドラインは本文で有効期限を発行日から2年間と記しており、2026年10月4日時点ではその期限を過ぎた文書として引いています。AI事業者ガイドラインの記述は同日時点の記載をそのまま書き、解釈を足しません。当社の記録はウェブサイトの運用1件の出来事で導入の実績でも効果の測定でもなく、FDE伴走開発の進め方はサービスページに書いてある範囲に限ります。

情シスがいない会社のAI導入とは、決める人と手を動かす人を社内外で分けて進める導入である

情シスがいない会社のAI導入とは、情報システム部門(情シス)を置いていない会社が、決める人と手を動かす人を社内外で分けたうえで進めるAIの導入です。決める人が持つのは入れない情報の線引きと最後に止める判断で、手を動かす人が担うのは作る・直す・運用を続けるという三つの作業です。情シスがいる会社ではこの二つが部門の中で分かれていますが、いない会社では分ける前に製品の比較から始めてしまい誰が止めるかが空欄のまま残ります。

情シスを置きにくい規模の会社ほど、調査の上では取り組みが遅れています。調査は情シスの有無では集計しておらず、ここは従業員規模の数字を当社が読んだものです。IPAの「DX動向2026」(2025年度調査)では何らかの形でDXに取り組む企業は全体で75.7%ですが、従業員100人以下では41.6%にとどまり企業規模による二極化が続いています。同じ調査でAIを「導入している」企業は42.3%です。「現在、試験利用をしている」は15.7%で合計58.0%の企業が何らかの形でAIを導入・試験利用しています(IPA「『DX動向2026』広がるAI導入、DXは変われるか」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。

導入の進んだ側で誰が引っ張っているかを見ると、情シスが前に出ています。同調査でAI導入・利活用のリーダーシップ体制は「IT部門の長」が46.0%と最も高く、次いで「経営層」32.1%・「導入や利活用する現場の長」27.5%の順でした。「CAIO(最高AI責任者)」を置く企業は2.9%・「CAIO以外の専任者」は9.8%にとどまり、IPAはAI利活用を専門的に主導する体制が整っている企業はまだ少ないとしています(IPA「『DX動向2026』広がるAI導入、DXは変われるか」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。最多の形がIT部門主導である以上、情シスのいない会社はこの形をそのまま写せません。残る形のうち経営層が引っ張る形が、この記事で言う決める人を経営者か業務の責任者に置く形です。

情シスがいない会社のAI導入の役割表。上段は決める人と手を動かす人の2列に、線引きと止める判断・作る・直す・運用を続けるの3行を置いた表。線引きと止める判断の行は、決める人が入れない情報の種類を決め公開・送信・支払いの直前で止めるのに対し、手を動かす人は線引きを設定と文書に落とし止まったら決める人に戻す。作る・直すの行は、決める人が最初に任せる業務を一つ選び出来栄えを見るのに対し、手を動かす人は下書きと仕組みを作り指摘を受けて直す(社内でも外部でも道具でもよい)。運用を続けるの行は、決める人が続けるか止めるかを判定日に決めるのに対し、手を動かす人は文書を更新し繰り返し出た訂正を規則に足す(社内に残る人)。下段は社内に手を動かす人がいない場合の2つの形を対比した2枚のカードで、左の受託で作って渡すは確定した要件を受けて作り納品で完了するため線引きと運用を続ける人を発注側で先に決めておく形、右の現場に入って一緒に動かすは何を作るかの特定から入り現場で使われるまで伴走して運用を続ける人へ引き継ぐ形

図は上段に決める人と手を動かす人の2列へ線引きと止める判断・作る・直す・運用を続けるの3行を置き、下段に社内に手を動かす人がいない場合の2つの形(受託で作って渡す/現場に入って一緒に動かす)を並べたものです。表は図と同じ内容で、以下の節は表の行の順に進みます。

表は横にスクロールできます。

役割の行 決める人 手を動かす人
線引きと止める判断 入れない情報の種類を決め、公開・送信・支払いの直前で止める 線引きを設定と文書に落とし、止まったら決める人に戻す
作る・直す 最初に任せる業務を一つ選び、出来栄えを見る 下書きと仕組みを作り、指摘を受けて直す(社内でも外部でも道具でもよい)
運用を続ける 続けるか止めるかを判定日に決める 文書を更新し、繰り返し出た訂正を規則に足す(社内に残る人)

決める人は経営者か業務の責任者で、手を動かす人は社内に居なくてもよい

決める人は経営者か業務の責任者で、手を動かす人は社内に居なくてもよい。この分け方の根拠は、公的調査の記述とガイドラインの役割の定義の二つにあります。

方針を持つ中小企業は増えています。総務省の「令和8年版 情報通信白書」の2025年度企業向け調査では、生成AIを「積極的に活用する方針である」「活用する領域を限定して利用する方針である」と回答した割合の合計は日本で68.9%(2024年度調査は49.7%)でした。企業規模別では大企業74.0%・中小企業58.1%で、特に中小企業で大きく上昇しています(総務省「令和8年版 情報通信白書 第Ⅰ部第2章第1節(1)生成AIの活用方針等」/2026年10月4日閲覧)。方針があっても、誰が決めて誰が動かすかは方針の文面には出てきません。

その誰がの部分を同じ白書が見ています。日本の中小企業で生成AI活用の戦略・方針として最も高かった回答は「経営幹部から各部署に対して実施事項や達成目標が提示されている」で、総務省は中小企業のAI活用はトップダウンの関与がキーポイントになっているとみています(総務省「令和8年版 情報通信白書 第Ⅰ部第2章第1節(2)組織的な取組状況」/2026年10月4日閲覧)。日本企業全体では「経営戦略のなかでAI活用の目的や方針が明示されている」が最も高く、米国・ドイツ・中国では「経営幹部から各部署に対して実施事項や達成目標が提示されている」「取組を推進する部署や責任者が明確になっている」との回答も目立ちました(同ページ/2026年10月4日閲覧)。

決める人を経営者か業務の責任者に置くのは、ガイドラインの位置づけとも合います。総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、経営者を含む事業執行責任者が「基本理念」(why)と指針(what)を踏まえ事業戦略と一体でAIを活用する際のリスク対策を検討・実践し、AIの安全安心な活用を推進することが重要としています(2026年10月4日時点の記載。総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。同ガイドラインの「共通の指針」7)アカウンタビリティは「③責任者の明示」として各主体においてアカウンタビリティを果たす責任者を設定することを求め、「④関係者間の責任の分配」では主体間の契約や社会的な約束等により責任の所在を明確化するとしています(同PDF/2026年10月4日時点の記載)。責任者は社内に置き、外に頼む部分の責任は契約で分ける。この二つが、手を動かす人を社内外のどちらに置いてもよい前提です。

手を動かす人が社内に居なくてもよいと言えるのは、担当者が役割の名前であって人数ではないからです。IPAが公開する「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」は、生成AIの組織活用における担当者を「導入担当者」「運用担当者」「セキュリティ担当者」の3つに分類しています。「導入担当者」は構想策定・要件定義・設計開発・テスト・デプロイという導入プロセスを牽引する従業員で、「運用担当者」は組織において生成AIの維持・運用を担当し安全な利活用のためのガイドライン・利用ポリシー・規定などを制定してユーザに周知する役割です(IPA 産業サイバーセキュリティセンター「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン(2024年7月)」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。この記事の分け方では、導入担当者の作業は外に出せる側で、運用担当者の役割は社内に残る側です。

専任者がいなくても進めている会社の記述もあります。IPAのディスカッション・ペーパー「日本の中小企業のDX推進についての考察」は、IT分野に見識がある役員や専門部署が存在しなくてもDXの成果を出している中小企業があるとし、中小企業白書・小規模企業白書2023年版の事例としてシステム関係の専任者がいない中小企業がシステム開発会社との連携でデジタル化による業務効率化を実現した例を挙げています。同ペーパーは「IT分野に見識がある役員」の有無や「DX推進やデジタルビジネス強化の部署」といった推進体制はDXの成果との関係が顕著ではなく、十分な実施体制が組めなくても外部連携などの工夫で成果を出している可能性があるとしています(IPA「調査分析ディスカッション・ペーパー2023-02 日本の中小企業のDX推進についての考察」(PDF)/2026年10月4日閲覧・執筆者の見解)。専任者がいないことは手を動かす人を外に置く理由になっても、決める人を空けておく理由にはなりません。

最初に決めるのは、入れない情報の線引きと止める人である

決める人が最初に決めるのは、入れない情報の線引きと止める人の二つです。製品を選ぶ前にこの二つを決めるのは、どちらも手を動かす人の側では決められない事柄だからです。

線引きが無いと何が起きるかは、ガイドラインに書かれています。IPAの導入・運用ガイドラインは、利活用ガイドラインが存在しない場合は生成AIの利用方法をユーザが自己判断せざるを得ず、個人情報を入力して漏洩する・効果的な利用方法が分からず利用をやめるといった事態が起きる可能性が高くなるとしています(IPA 産業サイバーセキュリティセンター「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン(2024年7月)」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。AI事業者ガイドラインは第5部「AI利用者に関する事項」のU-5)セキュリティ対策の実施で、AI提供者によるセキュリティ上の留意点を遵守しAIシステム・サービスに機密情報等を不適切に入力することがないよう注意を払うことを挙げ、U-2)ではAI提供者が設計において想定した範囲内で利用することを求めています(2026年10月4日時点の記載。総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。何を機密情報とするかを決めるのは利用する会社の側で、ここが決める人の最初の仕事です。

当社は入れない情報を鍵・顧客名・未公開の案件条件の3つに絞っています。鍵はパスワードやAPIキーといった認証情報のことです。書いてはいけない事柄の種類は指示ファイルに置き、操作を許すか確認を挟むかは権限の設定で分けています。線引きの決め方と置き場は社内ナレッジの生成AI活用の記事に書き、何を入力してよいかの社内ルールの作り方は生成AIの社内利用ルールの作り方にまとめました。情シスがいなくても、この線引きは経営者か業務の責任者が自社の文書の種類を見れば決められます。

止める人は役職名で決めます。総務省の白書では生成AIの不適切な利用を防ぐ取組として日本で最も多かったのは「全社的な指針やガイドラインを整備している」41.1%で、他の3か国では企画・導入段階での専門的な審査体制や導入後の定期的な評価・検証の割合が日本より高い傾向でした(総務省「令和8年版 情報通信白書 第Ⅰ部第2章第1節(4)懸念されるリスク及びリスク対策のための取組状況」/2026年10月4日閲覧)。指針を書くことと止める人を置くことは別の作業で、指針だけでは操作は止まりません。IPAの調査でもAI導入・運用上の課題は「専門人材が不足している」50.1%が最多で、「生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している」45.8%・「適切な利用を管理するためのルールや基準の作成が難しい」39.7%が続きます。IPAはこれを人材不足・リテラシー不足・ガバナンス整備の遅れの三大課題と整理しています(IPA「『DX動向2026』広がるAI導入、DXは変われるか」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。

当社の記録では、止める線を最初に引いたのは人ではなく道具の既定の仕組みでした。2026年9月27日に数えたClaude Codeの許可リストは allow 78件・deny 0件・ask 0件で、2026年6月のサイト構築時の9件から承認のたびに増えて一度も棚卸ししていませんでした。本番反映は2026年9月24日から26日の3回とも既定の仕組みが止め、代表が自分で実行しました(AIエージェントの暴走を防ぐ権限設計)。止める人を役職名で決めずに許可だけが増える形は、情シスの有無にかかわらず起きます。この記録から当社は、確認を挟む操作を本番反映・外部への送信・認証情報とアカウントの操作の3つの名前で決めておく必要があると分かりました。

手を動かす人を外に置く形は、作って渡す受託ではなく現場に入って一緒に動かす形が合う

手を動かす人を外に置く形は二つあり、情シスがいない会社には作って渡す受託より現場に入って一緒に動かす形が合います。合う理由は、情シスがいない会社では作ったあとに運用を続ける人を社内で決めて引き継ぐ工程まで外の人が見る必要があるからです。

受託開発は確定した要件を受けて開発し、納品で完了します。要件が決まっていて既製のサービスで足りる課題なら、この形で十分です。当社のFDE伴走開発のページでは、FDE(Forward Deployed Engineer)をエンジニアが顧客の現場に入り課題の発見から実装・運用定着・内製化までを一続きで担う支援の形と定義し、「何を作るべきか」の特定から着手して現場で使われるまで伴走すると書いています。向いているのは要件が固まる前の課題で、仕様が確定した大規模開発や既製SaaSで足りる課題には従来型の選択肢が適します。

一緒に動かす形が合う根拠は、ガイドラインが導入と運用を別の担当に分けている点にあります。IPAの導入・運用ガイドラインは導入・運用プロセス全体を通して重要となる要素を「段階的導入(スモールスタート)」「ドキュメンテーション」「継続的改善」の3点に分けて説明しています。システムの設定内容とその設定を行った経緯を文書化して記録することが重要で、運用面でも利活用ガイドラインやマニュアルを文書化して残すことが業務効率の向上やリスク軽減に寄与するとしています(IPA 産業サイバーセキュリティセンター「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン(2024年7月)」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。同ガイドラインの組織ヒアリングでは生成AIの導入はスモールスタートで実施される傾向があり、まず部門単位での先行利用やユーザを選定した導入を行い利用率や活用方法を確認したうえで全社展開を始める組織が多かったとされています(同PDF/2026年10月4日閲覧)。作って渡す形では、設定の経緯の文書と運用のマニュアルを誰が書き続けるかを発注側で先に決めておく必要があります。

現場に入る形では、貴社のメンバーと一緒に作りながらスキルを移しドキュメントと運用体制を整えて自社だけで改善が回る状態をゴールにすると当社のサービスページは書いています。最初の対象を1業務・1チームに絞り使われ方を見ながら範囲を広げる進め方も同じページの記述です。情シスがいない会社でこの形が合うのは、運用を続ける人を役職名で決めてあればその人がまだ使い方を知らない段階から始めても引き継ぐ工程が支援の範囲に入っているからです。当社が公開している事業継続計画(BCP)の支援企業の事例でも、業務に直結した研修・日常業務への組み込み・スタッフ自身が使い方を改善して広げられる状態までの伴走という順でした。向いている課題と向かない課題の仕分けは同じサービスページに、外注依存から抜ける段階の考え方は内製化のロードマップに書いています。

当社がサイト運用を情シス無しで続けられた条件は、規則を文書にし確認点を人に残したことだった

当社がウェブサイトの運用を情シス無しで続けられた条件は、規則を文書にしたことと確認点を人に残したことの二つでした。この記録は2026年6月から10月までの自社サイト運用1件の出来事で、効果の実績ではありません。

当社も情シスを置いていない会社で、ウェブサイトの運用にはClaude Code(ターミナルで動くエージェント型のツール)を使っています。任せているのは記事の構成案・文章の検査・構造化データの監査・検索データの集計・投稿の下準備・日程調整の下書き・動画の書き出しの7つの作業で、人に残した判断は公開・送信・改題・支払いの4つです。7つの作業の中身と2列の表はClaude Codeの業務効率化の記事に載せました。この記事の役割表に当てると、作る・直すの列を道具が担い、線引きと止める判断の列を代表が持つ形です。表の止める判断は公開・送信・支払いの3つですが、当社はこれに検索結果に表示のあるページの改題を足した4つを人に残しています。

一つ目の条件は、規則を文書にしたことです。任せる作業の渡し方は規則を指示ファイルに・手順を運用文書に・判断の記録を台帳に分け、指示ファイルには書き方の規則と書いてはいけない事柄の種類だけを置いています。2026年9月上旬にはサイト運用のClaude Codeへ読ませていたメモリと運用文書と会話に代表のやること一覧が分かれて記録され正本が無いと分かり、やること一覧と編集規格を話題ごとの正本に決め直してメモリは正本の在りかを指す索引に役割を変えました(社内ナレッジの生成AI活用)。規則が文書にあれば、手を動かすのが人でも道具でも外部でも同じ線で動けます。情シスがいない会社で規則が特定の人の頭にしかない場合、その人がいない日には線引きを参照できる人がいなくなります。

二つ目の条件は、確認点を人に残したことです。2026年9月17日には機械の検査を通した投稿本文を代表が読んで出来栄えの理由で保留にし、自動生成した本文を止めました。本番反映を既定の仕組みが止めた3回は線引きの節に書いたとおりで、生成サービスの上限で画像が揃わなかった日には公開を止め、以後は画像が無い記事は公開しないと決めました。止めた記録が残っているのは、公開・送信・改題・支払いの直前に人が見る場所を置いていたからです。

当社の記録で決める人と手を動かす人は同じ人物で、分けたのは人ではなく規則の置き場と止まる場所でした。手を動かす役を道具が担っても、線引きと止める判断を文書と設定の側に置けば役割表の2列は成り立ちます。情シスがいない会社が外部に手を動かす人を頼むときも、この2列を先に書いてから頼むと何を頼み何を社内に残すかが決まります。

向かないのは、決める人が決まっていない会社と、情シスの代わりを特定の担当者に全部任せる形である

決める人が決まっていない会社と、情シスの代わりを特定の担当者に全部任せる形では役割表の左の列が空きます。前者は線引きと止める判断の持ち主が居らず、後者は持ち主が手を動かす側に吸い込まれる形です。

決める人が決まっていない会社では、手を動かす人を外から入れても線引きと止める判断が空欄のまま進みます。IPAの調査で従業員101人以上300人以下の企業がDXに取り組んでいない理由は「DXに取組むための知識や情報が不足している」「DXの戦略立案や統括を行う人材が不足している」「DXを現場で推進、実行する人材が不足している」がともに高い結果でした。IPAはこれを取り組む意欲はあるが担える人材がいないという課題と整理しています(IPA「『DX動向2026』広がるAI導入、DXは変われるか」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。DXを推進する人材の「量」が「やや不足している」「大幅に不足している」の合計は301人以上の企業で9割を超え100人以下の企業でも6割を超えており、全体では85.5%です(同PDF/2026年10月4日閲覧)。不足は規模を問わないので、人が足りないという理由で決める人を空けておくと人材が揃う日まで線引きも空いたままになります。

決める人が決まると、協調の相手ができます。IPAの調査では経営者・IT部門・業務部門の協調が「十分にできている」「まあまあできている」の合計はDXの「成果が出ている」企業で72.9%・「成果が出ていない」企業で37.1%であり、IPAは部門間の協調とDXの成果創出が強く関係しているとしています(同PDF/2026年10月4日閲覧)。IT部門がない会社では経営者と業務部門の二者の協調になり、その二者のどちらが決める人かが決まっていないと協調の形も決まりません。総務省の白書では生成AI活用による業務変革等について「組織的な取組はない」と回答した日本企業は27.0%と約3割で米国・ドイツ・中国に比べて顕著に高く、企業規模別には中小企業で特に高い傾向が見られました(総務省「令和8年版 情報通信白書 第Ⅰ部第2章第1節(2)組織的な取組状況」/2026年10月4日閲覧)。

特定の担当者に全部任せる形が向かないのは、導入・運用・セキュリティの3つの役割と決める判断が同じ人の頭の中に入り、止める判断を確認する相手がいなくなるからです。IPAの導入・運用ガイドラインは3つの担当者を従業員の役割として定義しており、当社はこれを人数の規定ではなく役割の名前と読んでいます。兼任が成り立つ一方で、線引きを決める人と線引きの中で手を動かす人が同じになると線を越えたときに気づく人がいません。前の節の当社の例がこの形で、同じ人が担うなら止まる場所を人の外に置く必要があり、向かないのはその外側の仕組みまで担当者に任せて経営者が線引きを持たない形です。情シスの代わりに置く担当者には作る・直す・運用を続けるの行を渡し、線引きと止める判断の行は経営者か業務の責任者が持ち続けるのが役割表の読み方です。

内製に移る順番は、運用を続ける人を先に決めてから作る範囲を広げることである

内製に移る順番は、運用を続ける人を先に決めてから作る範囲を広げることです。作る範囲を先に広げると、作ったものの数だけ運用の担い手が要るようになります。

運用を続ける人はIPAのガイドラインの運用担当者に当たり、ガイドライン・利用ポリシー・規定などを制定してユーザに周知する役割です(IPA 産業サイバーセキュリティセンター「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン(2024年7月)」(PDF)/2026年10月4日閲覧)。この役割は導入が終わったあとも残るので、外に頼む場合でも社内の役職名で先に決めます。内製化のロードマップでは共創・移管・自走の3段階を書きましたが、情シスがいない会社ではこの3段階の前に運用を続ける人の名前を置きます。

順番は、毎週繰り返している作業を一つ選び既存の文書を読ませて下書きを作らせるところからで、定期実行に進むのは一つの作業が手動で数回回ってからです(Claude Codeの業務効率化の記事)。運用を続けるとは規則への追記を続けることで、当社では繰り返し出た訂正だけを記事の規格に足し、代表のやること一覧は話題ごとの正本として更新しています(社内ナレッジの生成AI活用)。作る範囲を広げるのは、この追記の経路が回り始めたあとです。

外に手を動かす人を置く場合も順番は同じです。当社のFDE伴走開発のページは最初の対象を1業務・1チームに絞り使われ方を見ながら範囲を広げる進め方を前提にし、定着の指標を先に決めておくと続けるか広げるかを判断しやすくなると書いています。判定日に続けるか止めるかを決めるのは役割表の決める人の仕事で、その判定に使う指標を最初の業務の段階で決めておくと内製に移る時期も同じ指標で読めます。

情シスがいない会社のAI導入についてよくある質問

Q. 情シスがいないなら、先に情シスを採用すべきですか?

採用の前に、決める人と入れない情報の線引きと止める人を決めるのが順番です。情シスを採用しても線引きと止める判断は経営者か業務の責任者の側に残り、採用した人に渡るのは役割表の手を動かす側の行です。採用が決まるまでの間も止める人は要るので、どちらにしても先に来るのは決める側の仕事です。

Q. 決める人は経営者でないとだめですか?

業務の責任者でも成り立ちますが、公開や送信の直前で止める権限を持っている人である必要があります。線引きを決める人と止める人が別の役職だと、止まったときに戻す先が二つに分かれます。決める人を経営者か業務の責任者と書くのは、線引きの決定と止める権限が同じ場所に来る役職がこの二つだからです。

Q. 入れない情報の線引きを、外注先に決めてもらえますか?

何を機密とするかの判断は利用する側のもので、外注先には渡せません。外注先が担えるのは線引きを設定と文書に落とす作業と、どの種類の文書が社内にあるかを一緒に数える作業までです。線引きを外に出すと、線を越えたときに気づく人も社外に出ます。

Q. 止める人は、何を止めるのですか?

外に出た瞬間に戻せなくなる操作です。当社では公開・送信・改題・支払いの4つを人に残し、それぞれの直前に人が見る場所を一つずつ置いています。入力の直前も同じで、入れない情報の線引きは入力の前に止める人がいて初めて運用になります。

SAIの視点:情シスの箱が無い組織図でも、止める人の名前は書ける

当社の組織図にも情シスの箱はありません。それでも記録を読み返すと、止まった回に最後に実行したのは代表で、止める人の名前は組織図に書けていたことになります。情シスがいない会社の相談で当社が最初に見るのも製品の候補ではなく、組織図のどの箱に止める人の名前が入るかです。

株式会社SAIのキャラクターが、情シスの箱が無い組織図を前にして、経営者の箱に止める人の札を掛け、外部の箱と現場の箱を線で結んでいるイラスト

組織図に新しい箱を足す前に、いまある箱のどれかに「AIの導入で最後に止める人」と書き込めるかを見てください。書き込めた箱の役職名と、最初に任せたい業務の名前。この二つをお問い合わせに書いていただければ、役割表の残りの行を埋める話から始められます。

線引きの文書から始めるならAI導入支援、手を動かす人を外に置くならFDE伴走開発が入口で、入口の違いは決める人の箱に名前が入ったあとに決まります。

出典と確認日

いずれも2026年10月4日閲覧。AI事業者ガイドラインは同日時点の記載で、更新され得る。IPAの導入・運用ガイドラインは中核人材育成プログラムの卒業プロジェクトの成果物でディスカッション・ペーパーは執筆者の見解であり、いずれもIPAの見解を代表するものではない。当社の記録はClaude Codeの業務効率化・社内ナレッジの生成AI活用・権限設計の記事に公開済みのもので、導入の実績ではない。